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『万引き家族』へのアプローチ【フィスコ・コラム】


カンヌ映画祭の最優秀賞受賞で話題の『万引き家族』が、6月8日から全国で一斉公開されています。現在の日本の貧困問題を扱っているとされますが、様々な切り口でアプローチできる作品だと思います。


日本映画としては21年ぶりの「パルムドール」受賞作とあって、先行上映ではレイトショーにもかかわらず、客席はほぼ満席でした。タイトルからいって、登場人物がそれぞれユニークな盗みのテクニックを駆使する『オーシャンズ11』(2012年アメリカ)、あるいは幼い子供が犯罪もいとわずにたくましく生きる姿を描いた『スラムドッグ・ミリオネア』(2008年イギリス)のような娯楽作品を想像していました。


出演者も樹木希林とリリー・フランキーぐらいしか知らなかったのですが、この2人はもちろんのこと、他の女優や子役のリアリティ豊かな演技に圧倒されました。年金不正受給事件をモチーフとしたストーリーで、「家族」は少ない年金を分け合い、足りない食料や日用品を万引きして暮らしていました。彼らは血のつながりはないのに実に仲が良く、前半はハートウォーミングな場面に和まされます。

「祖母」が「孫娘」に鍋ものを自分の口で吹いて冷ましてから取り分けるシーンなどは、確かに存在していた家族団らんの象徴的なシーンとして印象に残りました。映画の終盤にかけては、日本における貧困という現実を突きつけられます。是枝裕和監督はこの作品を通じて何を一番に訴えたかったのか、などと映画評論家のような見方をしなくても、それぞれの受け止めが許されるのではないでしょうか。



例えば、血縁関係のない共同生活者は「家族」たりうるのか、『羅生門』に出てくる老婆さながらの「祖母」にみられるように老いとはどのような状態か、など考えさせられます。また、小さな兄妹の盗みを見なかったことにして罪を問おうとしない駄菓子屋の店主から、以前は普通にあった社会の寛容さがいつの間にか世の中から消えてしまったのではないか、など多くの興味深いテーマがあるように思えます。


あえて市場関係者の観点では、作品中の家族はフィクションだとしても格差社会における貧困家庭の増加がデータからも示され、来年の消費税率10%への引き上げは確実に日本経済を減速させ、それにより日本株の下落基調は避けられないと見ることができます。そういえば、2018年3月期決算では、大手企業の大規模なリストラが話題になりました。格差社会はこれからが本番を迎えるのかもしれません。


救いは、円高が進行すれば日本国債に買いが入り、長期金利の低下を招いて過度な円高を和らげる効果が期待されることでしょうか。




<SK>

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