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NYの視点:米国債利回り曲線がスティープ化、投資家が強い景気回復織り込む


米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は半期に一度の上下議会証言において、経済には依然スラックが存続するとし、インフレや最大雇用の目標を達成するまで、大規模な金融緩和策を当面維持する慎重な見解を改めて表明した。インフレ目標達成には3年以上要する可能性も警告している。

一方で、投資家は強い回復に期待を強めている。民主党上院のシューマー院内総務は3月中旬に一連の失業者支援策が失効するまでに1.9兆ドル規模の追加経済対策を成立させる意向を示したほか、ワクチン接種ペースの加速が背景となる。米食品医薬品局(FDA)スタッフは製薬会社ジョンソン・アンド・ジョンソン開発の1回接種で済み、取り扱いも容易なワクチンが安全かつ効果的と良好な判断を下した。委員会は26日に同社申請のワクチンの緊急使用許可(EUA)について協議する。速やかに承認されれば3月末までには200万回分、6月末までには1億回分が可能となる。新型コロナウイルスパンデミックが収束に向かい経済活動の再開が加速し成長を支援することになる。

米商務省が発表した1月新築住宅販売件数は前月比+4.3%の92.3万戸と、12月88.5万戸から減少予想に反し増加し10月来で最高となった。住宅市場において新築住宅が占める割合は小さいが契約時点での統計となる同指数は先行指標として注目されており住宅市場が今後も拡大し成長を引き続き支援する可能性を示唆した。

米国債相場は下落基調に転じている。10年債利回りはパンデミック前1年ぶり高水準で推移している。利回り曲線も一段とスティープ化。2年債と30年債の利回り格差は2015年11月来で最大となった。2年債と10年債の利回り格差は4年ぶり最大。2019年後半に一時逆イールドに落ち込んだ際には、米国経済が深刻なリセッションに陥ると警戒された。長期債が短期債の利回りを上回る順イールドは通常景気拡大時に見られる。投資家が将来のインフレや金利上昇を織り込んでいる証拠となるほか、FRBの政策の立ち遅れへの警告も見られる。

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