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NYの視点:米国の貿易関税の行方が焦点に


米中貿易部分合意の速やかな成立期待が後退した。当初、米中首脳による署名が予定されていたAPEC総会が中止。その後、香港の政府に対する抗議デモが激化・長期化。これに対応する形で、トランプ政権は香港人権法を成立させた。中国政府は反発。

トランプ大統領は2日、米国が香港法案を成立させたことが、中国との貿易交渉に影響する可能性を指摘した。大統領は3日には、訪問している英国のロンドンで記者団に「中国との貿易協定をまとめるには大統領選挙を待つという考えも好ましい」と語った。ただ、中国が米国以上に貿易協定合意成立を望んでいるはずだとし、協定の内容が良いものかどうか見ていく方針を示した。もし、内容が米国にとり悪いものであれば署名しない考えを再表明した。

トランプ政権は今月15日に残りの中国輸入品に対して関税を発動する計画。これにより全中国製品に関税が課されることになる。ホワイトハウスによると、現状では計画通り、関税を発動する予定となっているようだ。

対中だけでなく、「Tariff Man 関税を好む人物」と呼ばれるトランプ大統領は今週、通貨安操作を理由に、対アルゼンチン、ブラジルに対し輸入鉄鋼に対する関税を再開すると発表。フランスのデジタル課税に対する報復として、ワイン、チーズなどフランスの高級品に対して関税発動を警告している。ドイツに対しても、北大西洋条約機構(NATO)支援を強化する必要があり、さもなければ貿易措置をとると、関税を警告している。大統領はメルケル首相と4日、会談予定。

高関税が世界の貿易や製造業を停滞させ各国の経済にも影響を与えていることは指標から明らかになりつつある。市場関係者は、1)トランプ政権が対中追加関税の発動を見送った場合、株式相場の大きな変動はない、2)10−15%の関税発動では、「緩やかな下落」、3)万が一、50%以上の関税が課された場合は「深刻な下落」に陥ると警戒している。大幅な関税は、世界経済を再び景気後退の脅威にさらすことにもなりリスクオフが一段と加速する可能性がある。現状では2020年1回と見られているFOMCの来年の利下げ確率も上昇する。

■米国の関税計画

対中
「15日に残りの対中輸入品に関税発動する計画」

対ドイツ
「ドイツはNATO支援を強化する必要、さもなければ貿易措置を警告」

対アルゼンチン、ブラジル
「通貨安操作を理由に、両国から輸入する鉄鋼に対する関税を再開」

対フランス
「デジタル課税に対して、ワイン、チーズなどフランスの高級品に対する報復関税を警告」

対EU
「欧州車への関税の可能性」

■対中関税による米国株式相場動向の市場予想

・米国政府が12日に関税を発動しなかった場合:大きな変動なし

・関税率10−15%の追加関税を発動した場合:緩やかな下落

・関税率50%以上の追加関税が発動された場合:深刻な下落、景気後退への脅威も再燃へ




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