米国債券市場では2007年以降初めて、2年債と10年債の利回りが逆転したため、米国経済が近く景気後退に陥るとの警戒感が強まった。英国やカナダでも長短金利の逆転が見られ、世界的な景気後退懸念が強まりつつある。

欧州や中国のマクロ経済が悪化。ドイツの4-6月期国内総生産(GDP)は懸念されたとおり前期比—0.1%と、昨年7-9月期以来のマイナス成長に落ち込んだ。中国が13日に発表した7月鉱工業生産の伸びは前年比+4.8%と、2002年2月以降17年ぶり最低を記録。さらに、中国と欧米諸国の経済の橋渡しの役割を担う香港では中国本土に対抗する大規模なデモが発生。デモ隊と警官隊との衝突も見られ、中国本土からの軍事介入なども警戒されている。中国の経済はすでに米国による関税の影響で成長が減速している。加えて、香港のデモが中国経済にさらなる打撃を与える。

1978年以降、米国の2年債と10年債の利回りの逆転は5回で、いずれもリセッションの前兆となった。ただ、1.景気後退を確実視するためには長期間の逆転維持される必要がある。また、2.実際に利回りが逆転してからリセッション入りするまで、平均で22カ月を要する。さらに、3.現在の金利水準自体がかなり低水準であるため、過去の例と比較は困難との意見もある。

過去3回の利回り逆転時の水準
2000年:6.4% 5.9%
2006年:4.8%、4.6%
2019年:1.6%、1.6%

短長期債の利回り曲線が一時的に景気後退の兆候を示唆したことは、市場が連邦準備制度理事会(FRB)に対して9月連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイントの利下げのような積極的な対処を求めている証拠となる。さらに、来週22−24日に米カンザスシティー連邦準備銀行主催で、経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が開催されるが、各国の中銀総裁や財務相が集まる年次会合では、世界経済の減速に対処する協調行動の発表も期待される。


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情報提供元:FISCO
記事名:「NYの視点:米国債相場はFRBの積極的な利下げを要求