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コラム【アナリスト夜話】:ノーベル賞ウィークの見どころと重たい課題(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)


世界的に政治問題が喧しい中、今年も淡々とノーベル賞ウィークが幕を開けました。毎年短期間ながら株価材料にもなるだけに、日本人受賞の有無に注目が集まります。2日月曜日が医学・生理学賞、3日火曜日が物理学賞、4日水曜日が化学賞の発表です。 このうち、物理部門については、ほぼ“当確”があります。高温超伝導の1987年以来最も面白くない年と言われ、学者たちは来年以降を目指そうと高みの見物のようです。 対象は、残念ながら日本ではなく、アメリカのLIGO(ライゴ)という施設の重力波の観測です。昨年もこのコラムで触れさせていただきましたが、昨年2月の発見から1年以上経ち、他の施設でも観測されるなど検証も進みました。

一方、日本人の最有力候補は、今日夕方発表の医学・生理学の京都大学・本庶佑氏です。免疫を抑えるタンパク質を発見し、画期的がん治療薬「オプジーボ」の開発に繋げました。

大混戦なのは化学分野です。人工的光合成を可能にする触媒技術研究の大阪市立大の神谷信夫氏、有機物合成技術の「分子性触媒」開発の中部大・山本尚氏などが有力です。他にも、スマホや電気自動車の開発を支えたリチウムイオン電池の旭化成・吉野彰氏など、多数の日本人の名前がメディアで取り上げられています。但し、そもそも世界中にかなりの候補者がいるので、日本人が受賞できるかどうかはかなり不透明です。

もし日本人が今年も受賞できれば、初の4年連続受賞という快挙です。他方、先日の文部科学省の発表によれば、日本人の高評価論文の世界シェアは、この10年で世界第4位から9位に大きく後退しています。若手研究者の減少や、国際的な共同研究の不足などが原因とされます。

基礎研究の劣化は、それでなくても競争力を失いつつある日本企業の勢いを一層低下させます。連続受賞を遂げたとしても、それで浮かれず、むしろ本気で教育・研究の将来を考える契機にしたいものです。

マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那
(出所:10/2配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)



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