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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆中朝国境は引き続き注意◆



〇国連安保理全会一致制裁決議〇

9月1日(3日に北朝鮮が核実験を行う前)のNYダウは21987.56ドル、ナスダックは6435.33ポイントだった。ドル円は110.25円、米10年債利回りは2.17%。国連安保理が全会一致で対北朝鮮制裁決議を行ったのは日本時間で午前7時過ぎなので、その分を織り込んだ訳ではないが、リスクが遠退いているとの見方で、NYダウは22057.37ドル、ナスダックは6432.26、S&P500は最高値を更新した。ほぼ核実験前を取り戻したと受け止められる。

ただ、ドル円は109.39円、10年物国債利回りは2.125%と未達感が残り、ハリケーン被害などを受けた米経済動向に懸念が残っている印象だ。どういった復旧対策が組まれるかで、インフレ観に影響するものと考えられる。ブルームバーグの報道では、「米10年債利回り3%見込んだウォール街、予想が外れて2%を新照準に」。3月時点のコンセンサスでは、利上げが3~4回実施され、インフレに早めに対処する必要があるとの見方だった。現実は2%割れの予想も出る状況で、半年で「振り出しに戻って予想しなければならないのが実情」。言い換えれば、トランプ政権の景気刺激策への期待は事実上消えていると思われる。

国連安保理が全会一致で制裁決議を行ったとしても、北朝鮮危機がなくなった訳ではない。北朝鮮の出方次第で情勢が一変するリスクを孕む。制裁実行の流れを見極めていく流れと思われるので、焦点は物流の大半を握る中朝国境と、制裁し難いサイバー戦争の動きと思われる。憶測の域を出ないが、中国が突然、ビットコイン取引を閉鎖したのは、北朝鮮の錬金術が同国に持ち込まれることを嫌ってのものとの見方も出ている。韓国の仮想通貨取引所では5月に攻撃を受け(北朝鮮とは断定されていないが)、現在のレートで約16億円相当を失った。身代金要求型ウイルス「ワナクライ」騒動のサイバー攻撃も北朝鮮のハッカー部隊が背後にいると見られている。豪戦略政策研究所の報告によると、サイバー業務を担う北朝鮮偵察局の人員は約6000人を擁する。

中国や働き掛けを行っていたロシアまで、制裁決議賛成に回ったことで、北朝鮮の鉾先は両国に向けられやすい面がある。ロシアは口では北朝鮮支援や対話を主張しても、実際の物流機能など、北朝鮮経済への影響は極めて限定的だ(万景峰号の実例が示す)。当然、摩擦が起きやすいのは中国と考えられる。中国経済は今のところ(表面上)順調に推移しており、日本企業もその恩恵を受けている。市場の関心が10月18日の共産党大会後の新体制に向かうと考えられ、中国情勢が焦点となろう。なお、9月1日の日経平均終値は19691円、高値は19735円。壁と見られる19800円を抜いて来れるかどうかが焦点と考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/9/12号)



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