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自身の悪行におびえつづける中国共産党


 中国の人権派弁護士、高智晟氏(57)が執筆した『2017,中国起来(2017年 中国よ目を覚まして)』。ここには高弁護士が、当時の胡錦涛国家主席と温家宝総理に公開書簡を出し法輪功の問題を解決するように呼び掛けたため、公安当局に要注意人物として24時間監視下に置かれ、そして強制失踪させられ、拘束された獄中ですさまじい拷問をうけたことなどが詳細に記されている。中国共産党政権の圧政に対する高弁護士の明晰な分析は、読み手に様々な示唆を与えてくれる。

 中国の歴史を知る者にとって、中国共産党が悪の化身であることは周知の事実だ。中共当局が悪事を働く際、神をも恐れず思うがままに振る舞い、その行為は果てしなくエスカレートする。だが、彼らは同時に、自らの悪行が白日の下にさらされることを極度に恐れてもいる。

 このことについて、高弁護士は著書の中で次のように記している。「彼らの中に、およそ常人であればにわかには信じがたいような、2つの矛盾する思考が存在していることに気がついた。一つは悪霊に取りつかれたかのように悪事に手を染めること。もう一つは、悪事を行ってから、それが露呈するのを、やはり悪霊に取りつかれたかのように恐れているという点だ。この数年間、私に暴行や拷問を加える相手に、悪に加担しないのが一番安全なのだと、私はいくども言い聞かせている。だが彼らはそれには耳を貸さず、手を汚してから『ばれやしないか』と震えているのだ」

 ばれるのが怖いなら、最初からしなければいい。だが中国当局の指導者層から末端職員まで、こうした当たり前のことが分からなくなっている。このことを説明する良い例がある。

 高弁護士が当局から迫害を受けるようになったのは、2005年胡錦濤主席(当時)と温家宝総理(当時)宛に法輪功学習者への弾圧の停止を求める公開書簡を出したことが発端だった。この時から秘密警察による高弁護士一家へ24時間の大ぴらな監視が始まり、当局はありとあらゆる手段を使って嫌がらせをするようになった。

 だが、一個人としての彼らが、悪事に加担することがばれるのをどんなに恐れているかが露呈したのもこの時だった。なにしろ、カメラやビデオカメラを向けるだけで、屈強な警察官が死ぬほどおびえ上がるのだから。その様子を、高弁護士は2006年に台湾で出版された『神与我門并肩作戦(神とともに戦う)』の中で詳細に描写している。

 2006年1月1日の昼過ぎ、敬虔なクリスチャンである高弁護士一家は日曜日のミサに出るため、車で教会に出かけた。車には家族のほかに、海外から取材にやってきた新聞記者とカメラマンが同乗しており、高弁護士の車の後ろには、監視のため私服警官の警察車両がぞろぞろと何台も連なってついてきた(注)。

 そんななか、カメラマンがふと、高弁護士の車を尾行していた私服警官の車にカメラを向けた。すると、それに気づいた私服警官が血相を変えて、顔を撮られまいと車を右往左往させた。普段は我が物顔で警察車両を走らせているくせに、この日ばかりは住み家から始めて外へ出たネズミさながらに、カメラを恐れて狼狽していたのだ。その様子に、高弁護士の車内からどっと笑い声が上がった。

 本当にカメラを怖がっているのか試してみようと、高氏は車を停車させるふりをした。すると後ろの警察車両が全部、車のハンドルを切ったり急ブレーキをかけたりして、高弁護士の車と距離を保とうとした。近づきすぎると顔が撮影されてしまうと思ったからだ。何台もの警察車両が同じように慌てふためくさまは、まるで気弱な小ネズミの群れがあがいているかのようだった。

 また、06年1月14日の早朝のことだ。高弁護士が家を出るとすぐに、20人もの私服警官がぞろぞろと後についてきた。市場を通りかかると、この光景を見慣れているある店の店主が目配せをした。すると自動車修理工場から高弁護士の顔見知りの男たちが10人ほど出てきて、1人が高弁護士に声をかけた。「毎日毎日こんなにたくさんの私服警官を引き連れて、怖くないんですか?」。すると高弁護士は手に持っていたビデオカメラを見せてこう答えた。「これはすごい力が備わっている『武器』なんですよ。なにしろ、これを彼らに向けたが最後、彼らは蜘蛛の子を散らすように逃げていくのですからね」

 そういいながら、高弁護士は振り返ると彼らに向けてカメラを構えた。すると20数人もの私服警官が慌てて顔を隠すではないか。こわもての警官が狼狽する様子を見てやろうと、あたりにたちまち黒山の人だかりができた。私服警官はまだ高弁護士を尾行するという任務を放棄してはいなかったが、高弁護士が振り返るたび、極度に嫌がりなんとかカメラから逃れようとした。そしてまたその様子を見た見物客が、私服警官を指さして笑い飛ばした。

 だが高弁護士が4度目に振り返った時、思いがけない光景が目に飛び込んできた。私服警官全員が、女物のスカーフを顔に巻いて、目だけを出した奇妙な格好に変身していたのだ。この方法は、彼らの上司が考え出した緊急時の奥の手らしい。このとき、野次馬の数は200人ほどに膨れ上がっており、私服警官の滑稽な姿をこぞってやんやとはやし立てた。「おまわりさん、明日もここにいらっしゃい!」

 07年9月21日から10月12日の22日間にわたり、高弁護士は当局に強制失踪させられ拘束され、初めて拷問を受けた。高弁護士は後日、この時の体験を「あのように残忍で冷酷で、留まるところを知らない暴力を忘れ去ることなどできない」と形容している。

 高弁護士を実際に拷問した警官らは、下劣な手段を使って高弁護士を情け容赦なく傷めつけたが、そのくせ高弁護士の口からこのことが公になるのを異常なまでに恐れていた。なぜなら高弁護士を拷問するとき、彼らは決まって「もしこのことを口にしたら、次はお前の妻子の目の前でお前を拷問してやる」と脅迫を繰り返していたからだ。

 悪事は必ず露呈する。中共当局があれほどまでに悪事を公表されるのを恐れるのは、彼らの行為が完全に人の道に外れており、邪悪の極みだということをはっきりと自覚しているからだ。これらが明るみに出たら、中国共産党のかぶっている「偉大・光栄・正義」という仮面がはがれ落ち、人民を騙し続けることができなくなる。これもまた、真実を語ることの重要性を別な角度から実証していることになる。

 中共当局は悪事の露見に極度の恐れを抱いている。ならば私たちは、高弁護士のやったように、彼らの行った数々の悪事を明らかにし続けて、より多くの人々に、一日も早く中国共産党の正体を知らしめようではないか。

 注)日本と違い、中国の警察が行う要注意人物の監視は、主に心理的な威圧感を与えることを目的としている。特に、国内外に大きな影響力を持っている高弁護士のような重要人物については24時間の監視態勢が敷かれ、見失うことは絶対に許されないため、1台ではなく複数台の車で尾行する。だが監視や拷問を実際に行っている警察官らは、人に言えないやましいことをしているという自覚は持っている。そのため、彼らが一番恐れているのは、自分が個人として特定されることだ。顔写真や名前と言った個人情報と共に、「この人物は○月○日、××で△△さんを拷問した」「不当逮捕した」といった悪事をネット上に公開されたが最後、大紀元や新唐人テレビをはじめとする海外メディアに取り上げられ、明慧ネットの「悪人榜(悪人リスト)」にも実名入りで公開される。そしてこうした情報は瞬く間に中国国内へと拡散され、その結果、社会から後ろ指を指され、嘲られることになるからだ。

(翻訳編集・島津彰浩)

【ニュース提供・大紀元】




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