世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index)2019

首位のロンドンと「文化・交流」で大きなスコア差

東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 一般財団法人森記念財団 都市戦略研究所(所長:竹中平蔵)が2008年より調査・発表している、「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)」の2019年版の結果がまとまりました。GPCIは、世界の主要48都市を対象に、都市の力を総合的に評価した日本初のランキングです。今年の調査結果から、日本全体の持続的成長を支える首都・東京の強みと弱みが明らかになりましたので、ご報告いたします。



勢いを落とし始めた首位のロンドン、追従する2位ニューヨーク、伸び悩む3位東京、復調傾向の4位パリ
総合ランキングは、昨年と変わらず1位ロンドン、2位ニューヨーク、3位東京、4位パリとなった。2012年以降、8年連続で首位を維持し、独走状態を続けている首位のロンドンも、今年は総合力を落とす結果となった。ニューヨーク(2位)、東京(3位)、パリ(4位)もそれぞれの理由でスコアを落としたが、中でも東京のスコアの下落幅が大きかったため、東京とニューヨークとのスコア差が広がり、パリとの差が縮まる結果となった。

【ロンドン】2016年のEU離脱国民投票後もスコアを伸ばし続け、独走していたロンドンであるが、混迷する離脱交渉の影響を示すかのように、今年は経済の「GDP」や「世界トップ500企業」といった指標でスコアを落とした。一方で、文化・交流は16指標中12の指標でトップ5位以内に入っており、依然として卓抜した強さを有している。

【ニューヨーク】ニューヨークは「GDP」や「証券取引所の株式時価総額」「研究者数」などの指標で高い評価を獲得し、経済と研究・開発で今年も1位を堅持した。また、文化・交流と交通・アクセスもそれぞれ2位、3位と高い評価を得た。文化・交流における「外国人居住者数」をみると、過去3年間にわたって減少傾向にあることから、国内外の都市へ外国人が流出していることが伺える。

【東京】東京も昨年と比べて総合スコアを落とす結果となったが、3位は維持した。東京は五輪開催に向けて、文化・交流分野で昨年よりスコアを上げているが、「GDP成長率」や「優秀な人材確保の容易性」などの指標でスコアを落とした。また「食事の魅力」は高いものの「美術館・博物館数」や「ナイトライフ充実度」はトップ4都市の中では低評価であるなど、より魅力ある観光資源の整備が求められる。

【パリ】パリは2015年の同時多発テロの後、スコアが下落傾向にあったが、「外国人訪問者数」と「殺人件数の少なさ」のスコアが改善するなど上向きつつある。2024年パリ五輪の決定によって、今後は東京とパリが五輪開催前後の都市力の伸びを競い合う形となるだろう。

“世界一の都市”を目指す東京の課題

東京の分野別ランキングの結果 ― 昨年からの変化
環境分野では「持続可能性」や「自然環境」の評価が相対的に伸び順位を6ランク上げた。経済分野では、昨年4位だった北京が「政治・経済・商機のリスク」でスコアを伸ばし順位を上げたため、東京は順位を1つ落とした。研究・開発では、「留学生数」や「スタートアップ環境」でスコアを下げ、順位を1つ下げた。居住分野は新規指標である「働き方の柔軟性」により2ランク、交通・アクセス分野は同じく新規指標の「通勤・通学時間の短さ」の低評価などにより3ランク順位を下げる結果となった。

ロンドン・ニューヨーク・パリとの比較

ロンドンと比較すると、東京は、文化・交流分野で大きく差が開いており、改善が急務である。具体的には、「ホテル客室数」は全都市中最も多いものの、「ハイクラスホテル客室数」は少なく、高級宿泊施設の整備が求められる。また、「美術館・博物館数」や「劇場・コンサートホール数」、「ナイトライフ充実度」の評価が低いなど、魅力ある観光コンテンツの拡充も今後の評価向上の鍵となる。また、ニューヨークと比較すると、経済分野、研究・開発分野に大きな差があり、イノベーションの重要な要素である「ワークプレイス充実度」や「スタートアップ環境」が弱みであるといえる。パリと比較すると、東京は「国際線直行便就航都市数」や「社会の自由度・平等さ」の評価が低く、国際ネットワークや暮らしやすさに課題が残る。

東京が“世界一の都市”になるために
東京が都市力を伸ばし続けていくためには、GPCIから見えてきた強み・弱みを踏まえた上で、都市の総合力をバランス良く伸ばすための中長期的な取組みが必要である。具体的な取り組みの方向性を以下に掲げる。

経   済

経済成長施策(規制緩和・法人税引き下げ)

 

 

 

第4次産業革命への対応(IoT・AI・ビッグデータの活用)

 

 

 

グローバル人材の誘致

研究・開発

スタートアップ環境整備・起業支援

 

 

 

大学の国際競争力強化

文化・交流

ハイクラスホテルの整備

 

 

 

ナイトタイムエコノミーの活性化

 

 

 

文化・エンターテインメント施設の整備

 

 

 

多言語対応の推進

居   住

ダイバーシティ社会への取組み

 

 

 

安心・安全の強化

環   境

持続可能な社会・都市への転換

 

 

 

都心緑地の創出

交通・アクセス

国際交通ネットワークの強化

 

 

 

モビリティ変革(ライドシェアなど)

「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index, GPCI)とは

国際的な都市間競争において、人や企業を惹きつける“磁力”は、その都市が有する総合的な力によって生み出されるという考えに基づき世界の主要48都市を評価し、順位付けした日本初のランキングです。森記念財団都市戦略研究所は、2008年に初めてGPCIを発表して以来、都市を取り巻く状況の変化に対応するため、毎年新たな調査をもとに、ランキングを更新してきました。現在では、代表的な都市評価指標のひとつとして、さまざまな場所で政策・ビジネス戦略の参考資料として用いられています。この調査結果により、世界の諸都市が持つ魅力や課題を再認識いただき、都市政策や企業戦略の立案に役立てていただきたいと考えております。


Contacts

本件に関するお問合せ
一般財団法人森記念財団 都市戦略研究所
担当:松田、浜田、大和
TEL: 03-6406-6800
FAX: 03-3578-7051
Email: iusall@mori-m-foundation.or.jp
WEB: http://www.mori-m-foundation.or.jp/ius/gpci/

情報提供元:
記事名:「東京は3位を維持するも、4位のパリが東京に迫る