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ゼレンスキー氏、大統領任期が満了 選挙先送りで「正統性」論争も


 ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、2019年から5年間の任期の満了日を迎える。ロシアの侵攻が続く中で、今年3月に実施予定だった大統領選は先送りされ、実施のめどは立っていない。ゼレンスキー氏は暫定大統領として職務を続ける見通しだが、その「正統性」が論争となっている。

 議論の背景にあるのは大統領選を巡る規定のあいまいさだ。ウクライナでは22年2月のロシアの侵攻開始以降、戒厳令が出されているが、この戒厳令下での選挙は法律で禁じられている。一方、憲法では、大統領選は「任期5年目の3月の最終日曜日に実施する」と定められ、戒厳令下での対応については記されていない。

 憲法は、戒厳令下で最高会議(議会)議員の任期が満了した場合は戒厳令解除まで職務を続けると規定するが、大統領に関してはそのような記載がない。

 こうしたあいまいさから、ゼレンスキー氏に批判的な勢力は、大統領選を実施しないのは憲法違反だと主張する。地元メディア「キーウ・インディペンデント」によると、ゼレンスキー氏の元盟友で数年前にたもとを分かったラズムコフ元最高会議議長は今年2月、ゼレンスキー氏は最高会議議長に職務権限を譲るべきだと主張した。

 先手を打つ形で、ゼレンスキー氏は昨年11月に「今は選挙の時ではない」と先送りの意向を表明している。ロシアは現在、ウクライナ国土の約2割を占領し、東部ハリコフ州などで攻勢を強める。戦禍を逃れて国内外の各地へ避難している市民は多数に上る。こうした状況下での国政選挙の実施は、投票機会の平等、公正性や安全確保の面で課題が多く、実現のハードルが極めて高いのは確かだ。

 世論の後押しもある。キーウ国際社会学研究所の2月の世論調査では、回答者の69%が「ゼレンスキー氏は戒厳令が終わるまで大統領職にとどまるべきだ」と答えた。「選挙をした方がよい」と答えた人は15%と少数派だ。

 ただ、ゼレンスキー氏については、国民からの評価が高かった軍総司令官のザルジニー氏を2月に解任したことなどから、権力の集中を図っているとの批判も出ている。支持率は昨年12月の77%から今年2月には64%に下がった。

 ゼレンスキー氏が暫定大統領となるのを見越して、ロシアはその正統性や合法性に疑問を投げかけるプロパガンダを始めている。プーチン露大統領は今月17日、ウクライナ側と何らかの合意に至ることがあっても「我々は合法な政権との間で文書に署名しなければならない」と記者会見で主張した。

 対するウクライナ側は、ロシアが3月にウクライナ東・南部4州やクリミア半島などの占領地域でも露大統領選を強行したことについて「非合法」と批判している。【ベルリン五十嵐朋子】

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