パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦闘を巡り、イスラエル首相府は15日、ネタニヤフ首相がパレスチナ自治区ガザ地区の南部ラファへの侵攻計画を承認したと明らかにした。ロイター通信などが報じた。また、イスラエルはハマスとの休戦に向けた交渉のため、仲介国カタールに代表団を送ることも決めた。侵攻準備を整えながら交渉に臨むことで、ハマスに対する圧力を強める考えとみられる。
イスラエル軍はすでにラファに逃れている避難民について、ガザ地区中心部に退避させた後に侵攻する計画を立てている。退避先には仮設住宅や水、食料などを用意するとしているが、ラファにはガザ地区の人口の半数以上に当たる約140万人が集まっており、退避の際は混乱が予想される。首相府はラファでの作戦や住民避難について「軍が準備を進めている」としているが、侵攻する時期については明らかにしなかった。
休戦交渉はカタールやエジプトの仲介で継続している。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などによると、ハマスが新たに提示しているのは、各6週間の休戦を3段階にわたって実施し、人質を段階的に解放するという休戦案。第1段階では数十万人の住民帰還、第2段階で「恒久的な停戦」を実現し、第3段階でガザ地区の封鎖を解除するよう求めている。イスラエルはハマスの要求を「非現実的だ」としており、交渉で譲歩を迫る見通しだ。【カイロ金子淳】
