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松本元死刑囚の遺骨引き渡し 「悪用する意図、立証できず」


 2018年に死刑が執行されたオウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚の次女が、元死刑囚の遺骨と遺髪の引き渡しを国に求めた訴訟の判決で、東京地裁は13日、次女の請求を認め、引き渡しを国に命じた。国は後継団体の信者間で争奪の対象となり、公共の安全が脅かされる危険があると訴えていたが、小池あゆみ裁判長は「抽象的な可能性の域を出ない」と退けた。

 松本元死刑囚は教団による一連の事件で死刑が確定し、18年7月に刑が執行された。国は遺体を火葬し、遺骨と遺髪を保管した。

 元死刑囚の家族が元死刑囚の遺骨と遺髪の所有権を争った家事審判では、次女に所有権があるとする判断が21年7月に最高裁で確定した。だが、国は引き渡しに応じず、次女が22年10月に提訴した。

 国側は訴訟で、教団の後継団体では今も松本元死刑囚が崇拝の対象とされている上、次女は遺骨や遺髪を引き取った場合の取り扱いを秘匿しており、適切に保管することは期待できないと主張していた。

 これに対して判決は、国が遺骨と遺髪を保管している根拠となっている刑事収用施設法には、国が主張するような公共の安全を理由に引き渡しを拒む規定はないと指摘した。国による遺骨と遺髪の保管は、個人の財産権を制約することになるため、国の主張が正しいかについては慎重に検討する必要があるとした。

 その上で、父の死を悼む目的で引き渡しを受けようとしていると次女側が訴えているのに対し、国側は次女が後継団体と関係があることや、遺骨と遺髪を悪用する意図があることを立証できていないと言及。遺骨や遺髪が次女から他者の手に渡り、公共の安全が害されれば影響は甚大で、引き渡しを拒む政策判断も理解できなくはないとしつつも、「立法により解決されるべきことだ」と述べた。

 判決の確定までは国が遺骨と遺髪を次女に引き渡す義務は生じない。法務省は「判決の内容を十分に精査し、適切に対応してまいりたい」とのコメントを出した。【巽賢司】

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