英王室は5日、チャールズ国王（75）が「がん」と診断され、治療を開始したと発表した。がんの種類や進行度合いは明らかにされていない。入院はしていないという。英王室は「臆測が飛び交うのを避け、世界中のがん患者への理解を促進するため、国王は診断の公表を選択した」との声明を出した。
国王は前立腺肥大の治療のため、1月26日にロンドンの病院に入院し、同29日に退院した。この治療の過程でがんが判明したが、英BBC放送は王室関係者の話として「前立腺がんではない」と伝えた。英王室も、がんの種類について「別の問題」と説明している。前立腺肥大の術後の経過は「良好」と発表されていた。
英メディアによると、国王は5日、がん治療を始めるために英東部サンドリンガムの別邸からロンドンへ戻ったという。英王室は声明で「国王は治療に前向きで、早期の公務復帰を心待ちにしている」と述べた。国王は当面、公の場に姿を見せる行事への出席を休止する予定だが、負担の少ない事務処理などの公務は続けるという。
BBCによると、国王は長男のウィリアム皇太子（41）、次男のヘンリー王子（39）ら近親者には自ら病状を伝えたという。2020年に王室の公務から離脱したヘンリー王子は現在は米国在住で、国王や皇太子との長年の確執も報じられているが、近く国王の見舞いのために一時的に英国に戻る見通し。
突然のがん公表を受け、英政界からは「早期の完全復帰を確信している」（スナク首相）、「速やかに健康な状態に戻ることを祈っている」（野党・労働党のスターマー党首）とのコメントが相次いだ。
国王は22年9月、母であるエリザベス女王の死去を受け、王位を継承した。
英王室メンバーの病気を巡っては、ウィリアム皇太子の妻キャサリン皇太子妃（42）も1月16日に国王と同じ病院に入院し、同29日に退院した。英王室は「腹部の手術を受けた」と発表したが、具体的な病名は本人の意向で公表されていない。英メディアは「がんではない」と報じたが、臆測も飛び交い、一時は「キャサリン妃重病説」も流れた。【ロンドン篠田航一】
