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害獣の骨からスープ 「いのししラーメン」高校生が開発 岡山


 地域を悩ませる害獣を地産地消の名物にできないか。そんな発想から、岡山県中西部の中山間地域に位置する高梁市の方谷(ほうこく)学舎高校(同市内山下)の地域探究部が、イノシシの骨からスープを取った「いのししラーメン」を開発した。2月に岡山市内で一般向けに限定販売する予定。部長の上野(かみの)陸さん(2年)は「高梁の新たな名物として広めたいし、イノシシ被害を減らすことにつながればうれしい」と意気込んでいる。

 年明け早々、上野さんは2月に販売会を開く岡山市北区の「奉還町ユースセンター」で、関係者にいのししラーメンを振る舞った。集まった人々からは、「豚骨とはまた違う深みがある」「どこかなつかしい」といった声が上がった。

 開発したのは、起業サークルとして発足した地域探究部の12人。ビジネスプランコンテストを目指し、地域の資源を生かした商品開発の検討を進める中で、ラーメンが浮上。地元産の食材として目を付けたのがイノシシだった。「高梁はイノシシ被害が結構出ている。地産地消にもなると考えた」と上野さん。ラーメンを販売している同校OBの元に1カ月ほど通い、ラーメン作りの基礎を学んだ。

 ニンニクやネギも高梁産にこだわり、麺は部員のつてで人気ラーメン店の細麺を採用。イノシシの骨は地元猟友会の有志から分けてもらって試作を重ね、昨年5月末に学校近くの店舗を利用して30杯限定での販売にこぎつけた。だが、評判は芳しくなかった。「『これはいける』と自信があったけど、まったく受け入れられなかった。『意外とおいしいけど、もう来ない』という人が多かった」と明かす。

 原因は、ダシの取り方にあった。当初は骨を煮込めば煮込むほどいいと考えたが、煮込み過ぎて豚骨スープに近い甘さが出ていた。「骨を折らずに煮込んだので油が出ず、イノシシ本来の味が出ていなかった」と上野さん。7月下旬まで隔週で販売会を開きながら試行錯誤を重ね、弱火で6時間ほどじっくり煮出して骨の髄まで抽出すると、「イノシシの臭みを生かしながらも、女性にもうけそうな味に仕上がった」という。

 スープは完成したものの、その後は禁猟期に入って骨の入手が難しくなり、販売会の会場の確保もできなくなってラーメン販売はストップしていた。だが、取り組みが奉還町ユースセンターを運営する「一般社団法人SGSG」の野村泰介理事長の目に留まり、販売会の機会が舞い込んだ。

 2月3日の販売会では、午前11時から1杯800円で80杯を売り切るまで提供する予定。イノシシ肉のチャーシューも手作りして盛り付けるという。上野さんは「好評を得られれば、岡山で何度も販売会をしたい。高梁での販売も再開したいし、継いでくれる人が出てくれば、学校に(レシピを)残したい」。作り上げた自信の味を広めるきっかけにするつもりだ。【平本泰章】

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