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ヤマト2.9万人契約終了、個人事業主ら撤回要求 本社前で抗議


 ヤマト運輸がカタログやチラシなど小型荷物の配達を委託する個人事業主やパート社員約2万9000人との契約を終了する問題で、労働組合関係者ら約100人が9日、東京都港区に一時移転中のヤマト運輸本社前で契約終了の撤回と団体交渉を求めて抗議行動した。

 ヤマトは昨年6月、メール便「クロネコDM便」などの事業を日本郵政グループ傘下の日本郵便に移管すると発表。これに伴い、仕分け業務や配達業務を担う約4000人のパート社員や約2万5000人の個人事業主に今年1月末での契約終了を通告した。

 9日の抗議行動には、東京都内にある同社の配送センターで個人事業主として働く高本博純さん(74)が「相談なしに通告され、誠実な対応とは思えない」として契約解除の撤回を訴えた。約25年間、メール便を配達してきた高本さんは新たな仕事を探しているが「74歳ということもあり、見つからない。年金だけで生活するのは難しい」と話した。

 ヤマト運輸によると、パート社員に対しては約3カ月分の賃金相当額の慰労金、個人事業主には契約年数に応じて謝礼金(3万~7万円)の支払いを提示しているという。一部のパート社員は社内での再配置を検討するが、個人事業主には「別の仕事を探してもらうほかない」との姿勢を崩していない。

個人事業主配達増 あり方問題視の声

 今年4月から運転手の残業規制が強化される「2024年問題」もあり、運輸業界では個人事業主による配達が増えている。個人事業主は会社側と対等の立場で契約を結んで働くという建前だが、実際には会社に雇われた労働者と同じように働くケースもあり、労働者としての保護が及ばない個人事業主のあり方を問題視する声も上がっている。

 ヤマトの一部配達員が加入する労働組合「全日本建設交運一般労働組合(建交労)」は昨年10月末、東京都労働委員会に救済を申し立てた。同労組は個人事業主の配達員について、会社の指揮監督を受け働いており、労働組合法上の労働者に当たるとして団体交渉に応じるように求めている。

 個人事業主を巡って、都労委は22年11月、ウーバーイーツの運営法人に対して、配達員で作る労働組合と団体交渉に応じるよう命じた例がある。しかし、ヤマトの場合は契約が1月末までと時間がなく、同労組は「悪い前例になってしまう」と危機感を募らせている。

 欧州連合(EU)ではインターネット経由で単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」の労働条件を改善しようと、一定の条件の下で「従業員」として保護するための議論が行われている。日本では組織に属さずに働く「フリーランス」を保護する新法が23年に成立した。しかし、同法は不公正な取引の是正を図るのが目的で、団体交渉や最低賃金など労働者としての権利を保障しようとするものではなく、労働組合の関係者は「日本でも個人事業主に対する保障が必要ではないか」と話している。【道下寛子】

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