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「日航、安全意識つないでいる」 羽田衝突でジャンボ機事故遺族


 羽田空港(東京都大田区)で2日夕、日本航空(JAL)機と海上保安庁の航空機が衝突した事故で、JAL機の乗客乗員379人は全員脱出したものの14人がけがをし、海保機の乗員5人は死亡、脱出した機長も負傷した。1985年8月、日航ジャンボ機が群馬県上野村の御巣鷹(おすたか)の尾根に墜落し、乗客乗員524人のうち520人が亡くなった事故で当時9歳だった次男を失った美谷島邦子さん(76)は、海保機の乗員の死を悼むとともに「空港の過密化が進む中、事故防止のシステムに改善の余地はある」と語る。

 美谷島さんは、日航ジャンボ機墜落事故の遺族らで作る「8・12連絡会」の事務局長で、JALの社員らに事故の教訓を伝え続けている。美谷島さんは今回の衝突事故について「あの状況でJAL機の全員、乗員も含めて避難できたことは本当に良かった。日ごろの訓練、命を守る意識のたまものだと思う」と受け止め、こう語る。「事故を直接知らない若い社員も御巣鷹山に登り、安全への意識をつないでいる。事故を繰り返さない気持ちがつながっていると感じた」。一方、海保機が能登半島地震の支援に向かう途中だったことに触れ、「亡くなられた5人の冥福をお祈りしている。お正月から痛ましい災害があり、物資を運ぶといういつもとは違う状況で事故が起きてしまった」と述べた。

 「8・12連絡会」は御巣鷹の事故からおよそ4カ月後、原因究明と再発防止を求めて発足した。美谷島さんは「私たちの時は情報が出てこなくて、何も分からなくてつらかった。事故の再発防止には、原因などの情報を早く出すことが大事だ」とし、今回、管制官とのやり取りなどの情報が発生間もない段階から公表されていることを評価。その上で、過密空港として知られる羽田空港について「管制官のストレスはすごく大きいはず。誤進入などを強制的に止めるシステムがないのは問題ではないか」とし、「車の自動ブレーキのように技術も進歩している。システムを改善し、事故を防ぐ工夫が必要」と指摘した。

 JAL機の乗客の中には、機内の緊迫した状況を証言する人も少なくない。美谷島さんは「その時は夢中でも、恐怖は後からやってくる。今回のケースでも、心のケアなど国の被害者支援が必要だ」と指摘し、「被害者は声を上げて良いと思うし、被害者が声を上げなくても再発防止につながる社会の仕組みが必要だ」と訴えた。【日向梓】

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