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「酒場放浪記」吉田類氏が語る 酒場で「人と楽しむ」極意


 新型コロナウイルスの「5類」移行後、酒場にもにぎわいが戻りつつある。コロナ禍を経てアルコール離れが加速し、若者を中心に人々の価値観が多様化する中、「飲みニケーション」はどう変わるのか。BS―TBSの人気番組「吉田類の酒場放浪記」で1100軒を超える酒場を巡り、人との出会いを楽しむ酒場詩人の吉田類さんに聞いた。【聞き手・久野洋】

 ――酒離れが進み、代替品のノンアルコール飲料が増えました。「下戸」や「シラフ」の人とも飲まれますか。

 ◆実は僕はノンアルコール(ノンアル)を飲む方と一緒のことが多いです。スタッフと飲むと、僕が酔ってしまうので、まわりはお酒を飲みません。それでも、一緒に乾杯、乾杯と盛り上がります。僕は相手が何を飲んでいるのか分からないくらい気分が良くて。そんな状態で1年、2年と付き合う人もいます。

 酔っ払いの中にシラフで入って雰囲気を楽しめるかどうか、お酒を飲まない方には個人差もあります。ためらう人もいるかもしれません。でも、心配しないでください。相手は酔って楽しんでいるので、変な酔っ払いでなければ楽しく会話できると思います。

 ――私(記者)は下戸で酒場の敷居も高いです。酒場をうまく楽しむコツを教えてください。

 ◆公の場ですから、自分が楽しみたければ他者の空間を尊重することです。酒場は、お客とお客、お客と店主、その距離感をうまく守ることで楽しくなります。僕は「酒場の間合い」と呼んでいます。これは必須です。状況によって間合いは変わりますが、スマートな間合いを保てば心地よい飲み方ができます。

 初対面同士が酒場で出会うケースも多いです。あまり自慢話はしないほうがよい。自慢話であれば、自分の田舎の郷土料理の酒のつまみ、その程度にとどめればよいわけで。場所にふさわしい話題を見極めるのも酒場に通えば分かってきます。酒場は学校ですね。

 ――スマートフォンなど通信機器が発達し、会わなくても人とつながれます。対面で酒を飲む意味は何でしょう。

 ◆お酒は潤滑油です。昔、行政が企画した高齢の方々の集まりに行きました。最初、みんな自分の世界に閉じこもっていましたが、ビールを配って乾杯するとがらりと変わり、話が弾みました。お酒や乾杯の力は大きいですね。

 新型コロナで飲み会が減りましたが、僕は昔のように戻ると思います。距離を置くのは冷静に付き合いを見直す大切な機会でもあります。上司が部下を誘うにしても、誘い方は昔と違ってくるでしょう。相手の立場を尊重して誘う、きちんとした間合いが育つのです。成長した形で飲みニケーションが進むと思います。

 ――若い世代を中心に価値観が多様化しています。酒が入ると考えの違いがエスカレートすることも。年末年始、職場や親戚の集まりをどう楽しめばよいですか。

 ◆無理をしないことです。つまらない上司がいて、お酒を飲んでパワハラが行われるところなら、その集まり方が間違っています。昔は、そのような場で我慢しなければならない風潮がありましたが、過去は間違っていたのですよ。

 無理に窮屈な中にいる必要はないので、そういうときは「失礼します」でよいです。嫌だと主張するのは当たり前のことです。それで、酒の間合いを理解し、距離を保てる人たちの飲み会になれば、「行ってみようかな」と思う場に変わります。

 ――この先、番組ではどのように酒場の魅力を伝えていきますか。

 ◆下町人情は、時代が変わっても建物が新しくなっても失われないですよ。いくらディスタンス(距離)を保っても、お酒という潤滑油があるから心の距離は近くなる。そういう楽しさを発見することは変わりません。

 お酒のトレンドも発信できると思います。お酒は飛躍的にどんどんおいしくなっています。ノンアルも進化しています。それに、酒場には外国からのお客さんも増えます。飲み物を通じて見聞を広げることもできますし、外国人と飲めるのも面白いですね。外国人が入ってきたら、相手は旅人です。なるべく優しく受け入れてほしいですね。外国人も、下戸の方も温かく迎える、明るい未来が来ると思いますよ。

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