ポーランドのトラック運転手らが今月上旬以降、隣国ウクライナとの国境検問所付近の道路を封鎖した影響で、渋滞に巻き込まれたウクライナのトラック運転手2人が死亡する事態になっている。欧州連合（EU）の特例措置によってEU域内に流入したウクライナの輸送業者に仕事を奪われたとの不満が原因だ。
ウクライナ国営ウクルインフォルム通信は23日、ポーランド南東部にある国境検問所付近の駐車場で、検問所通過を3日間近く待っていた56歳のウクライナ人運転手が車中で死んでいるのが見つかったと報じた。ポーランドの警察当局は事件性はないとしている。11日にはポーランドの別の検問所付近にある駐車場の車内で54歳の運転手が死亡していた。
ロイター通信などによると、ポーランドでは今月上旬からトラック運転手がウクライナとの国境検問所3カ所の周辺道路を車両で封鎖。23日には最も交通量の多いメディカ検問所付近でも始まり、8検問所のうち4カ所でトラックが長蛇の列を作っている。ポーランド側では検問所通過を待つトラック約3000台が立ち往生し、多くの運転手は駐車場での生活を余儀なくされている。氷点下まで気温が下がる中、燃料や食料が尽きているとの報告もあるという。
ロシアによるウクライナ侵攻後、ウクライナの輸送業者はEU入域許可の取得を免除された。ポーランドやスロバキアのトラック運転手は、コストの安いウクライナの輸送業者に仕事が流れたとして、特例措置の一部撤回を求めている。【ベルリン念佛明奈】
