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「琵琶湖の水、止めたろか!」本当にできる 大津・瀬田川洗堰


 滋賀を軽んじたりした日には、それはえらいことになる。「琵琶湖の水、止めたろか!」とかまされるのを覚悟しないといけない。でも、ちょっと待てよ。そんなこと本当にできるの? いぶかしく思っていたら、なんと、できるみたい。瀬田川洗堰(あらいぜき)(大津市)という“ダム”が水量を調整しているようだ。【中川博史】

 琵琶湖に流れ込む1級河川は約120本。対して、琵琶湖から流れ出るのは瀬田川の1本のみ。国土交通省琵琶湖河川事務所によると、放流量は最大で1秒間に800立方メートル程度とのことで、琵琶湖の水位と下流河川の水量をうまい具合にコントロールしているのが洗堰というわけだ。

 洗堰ができたのは1905(明治38)年。大雨が降ったりすると、琵琶湖の周辺は水浸しになり、下流の宇治川や淀川には洪水の被害が出る。逆に渇水が起きることだってある。堰はそれらを防ぐのが目的だった。そこから、上下水道や工業用水、かんがい用水の供給などの役割が加わり、61年に新しく付け替えられたのが現在の瀬田川洗堰だ。

 洗堰は約11メートル幅の門が10基。全閉、全開ともに約30分で操作できるそうだ。旧堰の時は人力だったので、全閉するには2日、全開には1日かかったらしい。

 洗堰の上部に県道108号が走っている。そこから下をのぞき込むと、門が一つだけ開いていた。しぶきを上げながら、水がゴゴーッと音を立てて流れ出ている。なかなか壮観。「この水が我々の暮らしを支えてくれているのか」と即座には感じられないが、よくよく考えれば、そういうことだ。ありがたく思わねば。

 すぐそばの左岸に「水のめぐみ館 アクア琵琶」という洗堰の歴史や役割などを紹介している施設があったので、入ってみた。正面に旧堰の一部を再現した実物大の模型。パネルのボタンを押すと、当時の開閉の様子が音声で流れ始めたので、聴き入る。どうやら、長さ4・2メートルの角材をウインチで上げ下げして水の流れを調節していたようだ。勉強になる。

 洗堰から上流にかけての両岸合わせて約8・5キロは「瀬田川ぐるりさんぽ道」になっていて、散策に持ってこい。一度ゆっくり歩いてみたい。

 瀬田川洗堰は、学んでよし、楽しんでよしで、感心することしきり。ということなので滋賀の皆さん、いけずせんといてね。

瀬田川洗堰

 大津市南郷1(右岸)から同黒津4(左岸)にかけて。国土交通省琵琶湖河川事務所が管理している。100メートル余り上流にあった旧堰は南郷洗堰と呼ばれ、両端の一部が今も残されている。2002年度の土木学会選奨土木遺産に認定された。JR、京阪の石山駅からバスで約20分。「南郷洗堰」停留所下車すぐ。アクア琵琶の営業時間は午前9時半~正午と、午後1~4時。入場無料。火曜休館。電話(077・546・7348)。

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