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「架線切り離し」見られます マニア注目のツアー、秩父鉄道が初企画


 6メートル超の高さがある山車は踏切を渡ることができるのか――。埼玉県秩父市番場町の秩父神社で12月2、3日、「秩父夜祭」が開かれる。クライマックスは3日夜にある団子坂の山車の「曳(ひ)き上げ」である。坂の直前にある踏切上の架線は約5メートルの高さにあり、山車がくぐり抜けるのは不可能だ。夜祭を初めて取材する記者が抱いた素朴な疑問。その「答え」が間近で見られる鉄道マニアも注目のツアーを、今年初めて鉄道会社が企画した。【照山哲史】

 夜祭では山車全6基(笠鉾(かさぼこ)2、屋台4)が神社を出て約1キロ離れた市役所近くの「お旅所」に集結する。お旅所手前にある最大斜度25度の団子坂が最大の難所。その坂の手前にあるのが秩父鉄道(羽生~三峰口)の「御花畑駅」南隣にある踏切だ。

 300年以上の歴史ある祭り。秩父鉄道は、山車の通過に合わせて踏切上の「架線切り離し」で対応してきた。今も土日を中心にSLが走る路線は1922年に電化した。担当者は「記録はないが、電化した当時から行われているのでは」と話す。

 架線は西武鉄道からの乗り入れ用と、秩父鉄道のものと2組が並行している。当日は2組とも切り離し、山車が通過できる空間を確保する。約2時間半、電流供給停止区間が生じるので、熊谷方面からは秩父で、三峰口からは影森で、それぞれ折り返し運転する。

 祭り当日の切り離し作業は、2組で10分もかからない。ただ、作業を手際よくするため、11月下旬に架線を仮設に切り替える。終電後に約3時間かけ、通常は電力を電車に供給するトロリ線とそれを支える吊架(ちょうか)線の架線を、トロリ線だけのものに替えるのだ。

 同様の取り組みは、富山県高岡市の「高岡御車山(みくるまやま)祭」での路面電車・万葉線で行われているが、全国的にも珍しい。例年12月3日夜には、作業を見ようと鉄道マニアが詰めかけるが、団子坂への道路は手前の踏切も含め通行が禁止される。撮影は離れた場所から狙うしかなかった。

 今年のツアーは、立ち入りできなくなる御花畑駅のホーム上に見学・撮影スペースを設ける。作業の様子だけでなく、山車の曳き上げを間近で楽しめる特設観覧席でもある。秩父鉄道は「撮影時の安全を確保し、鉄道の魅力を知ってもらおうという初めての試み。夜祭を今までと違った見方で楽しんでほしい」としている。

 募集は11月1日午前10時からで先着20人。18歳以上で参加費は2万円。申し込みは秩父鉄道のホームページ(https://www.chichibu-railway.co.jp/)から。

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