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若年性認知症で働けず…でも「頑張ろうと思える」 仕事場提供の試み


 65歳未満で発症する「若年性認知症」で従来の働き方が難しくなった人に、新たな仕事場を提供する試みが今月、京都府内で始まった。会社で働けなくなり自信を失った人が新たな職場で同じ境遇の仲間と出会い、「頑張ろうと思える」と前向きな言葉が聞こえてくる。

 府が民間企業と協力して始めた「OTOKUNI シゴトバ」。毎月2回、向日市のレンタルスペースで、若年性認知症の人にクリーニングを終えた洗濯物をたたむ仕事などをしてもらう。当事者だけでなく地元住民らも参加でき、作業量に応じて報酬も支払う。

 初回の今月3日には3人が参加した。介護施設などの洗濯物を、それぞれのペースでたたんでいく。遅い人も早い人もいるが、誰も口出しせず、自由な雰囲気を重視している。

 参加した京都市西京区の男性(58)は1年ほど前に発症し、勤めてきた会社を辞めざるを得なくなった。府の紹介で新たな仕事場を経験し、「やはり仕事をしたいという気持ちがある。ここで初めて同じ境遇の友人もできたし、仲間を見ていると『頑張ろう』と思える」と声を弾ませた。

 「仕事をしてもらうことで『社会とつながっている』実感を持ってもらうことが大切だ」と、シゴトバで支援に携わる山中祥子さん(33)は話す。山中さんは心の悩みを持つ人から相談を受け付ける「府こころのケアセンター」で、「若年性認知症支援コーディネーター」として当事者に寄り添ってきた。

 認知症は高齢者に多い病気だが、65歳未満で発症すると若年性認知症とされる。厚生労働省によると、若年性の平均発症年齢は51・3歳。40代以下で発症する人もおり、山中さんは「通常の認知症は年齢を重ねる中である程度は準備できるが、若年性の場合は症状が突然表れる。働き盛りで子どもの学費や家のローンなど経済的問題も抱える中、当事者は『人生の再構築』を迫られる」と、若年性ならではの苦悩を語る。

 発症すると、仕事の約束を忘れたり、電車に乗れなくなったりするなど、これまでできていたことが急にできなくなり、自信を失って引きこもりがちになる人も少なくない。働く意欲を持つ人も、一旦仕事を辞めると再就職は難しいという。

 シゴトバはそうした人たちに社会との接点を作り、仕事の充実感を取り戻してもらうのが狙いだ。山中さんは「介護施設でも福祉作業所でもない『仕事場』で、みなさんの『働きたい』という思いをかなえたい」と話す。

 開催は毎月第1・3火曜日の午後1時半~4時。現在は向日市のみだが、今後は府内各地に取り組みを広げる方針。参加希望者はこころのケアセンターのホームページ(https://www.kyoto-kokoro-care.com/)にある用紙を入手し持参、郵送、ファクスのいずれかで申し込む。【千金良航太郎】

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