公正取引委員会は4日、10月からスタートした消費税のインボイス(適格請求書)制度を巡り、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)につながる恐れがあるとして事業者を注意した事例が9月末現在で36件あったと明らかにした。
インボイス制度では、発注事業者が、インボイスを発行するための登録をしない小規模事業者と取引した場合、「仕入れ税額控除」が受けられなくなる。一方で、発注事業者は経過措置として今後6年間、5~8割の控除が認められている。
公取委は今年1~9月、登録しない小規模事業者に取引価格の引き下げを一方的に通告した発注事業者36社を確認し、注意した。日本たばこ産業(JT)が葉タバコ農家に引き下げを通告した事例も含まれている。
インボイスに関する相談は2022年1月以降、3000件に上り、大部分が小規模事業者側からという。藤本哲也事務総長は4日の記者会見で「違反行為には厳正に対処していく」と話した。【渡辺暢】