アイルランドで昨年3月に行われた体操大会の表彰式で、黒人の少女にだけメダルが授与されなかったとして、同国体操協会が9月25日、少女と家族に謝罪する声明を発表した。ネット交流サービス（SNS）では「人種差別だ」と批判の声が上がっていた。
地元メディアなどによると、首都ダブリンで男女別に実施された体操大会の女子の表彰式で、協会職員が白人の少女らにメダルを授与する中、黒人の少女1人だけが順番を飛ばされた。
この様子を写した動画が今年になって拡散すると、協会は9月22日に「故意ではなかった。ミスに気付き、選手には会場を去る前にメダルを渡した。その後、対面での謝罪は拒否されたが、後に謝罪文を送付した」との声明を発表した。
これに対し、少女の母親は「協会は公式に謝罪していない」と批判。協会は25日に改めて「あってはならないことであり、深くおわびする」と謝罪する声明を出した。
騒動を受け、黒人の女子体操選手で2016年リオデジャネイロ・オリンピック4冠のシモーン・バイルス選手＝米国＝も、「胸が痛む」とX（ツイッター）に投稿。「どんなスポーツの場でも人種差別を許してはならない」と訴えた。【ロンドン篠田航一】
