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左手のピアニスト、同級生と「二人三手」で演奏へ 奈良でコンサート


 右手に病を患い、「左手のピアニスト」として活躍する智内威雄(ちないたけお)さん(47)=大阪府箕面市=のコンサートが23日、奈良市のなら100年会館である。ソロ演奏のほか、東京音大時代の同級生と2台のピアノを使った「三手の演奏」を披露する。智内さんは「三手の知られざる音楽を広げたい。息を合わせて弾く楽しさも伝えたい」と話している。【塩路佳子】

 共演するのは、兵庫県西宮市在住のピアニスト、山口雅敏さん(47)。ラベルの「左手のためのピアノ協奏曲」をはじめ、曲は三手用にアレンジした。山口さんは「一人が伴奏、一人が旋律を弾くのではなく、互いの音が交じり合うように仕上げた」と語る。

 三手のピアノ演奏はイギリスで活躍したピアニスト、シリル・スミスが切り開いたとされる。スミスは1956年に脳卒中で倒れて左手にまひが残り、右手のみを使って妻と「二人三手」で演奏を続けた。

 智内さんもドイツ留学中の2001年、自分の意思に反して筋肉が動く「局所性ジストニア」を右手に発症し、左手のみの演奏で再起した。手は異なるが片手で弾く行為は共通しており、「スミスの音楽への愛情は人並みはずれたものだったのだろう」と推しはかる。

 近代のピアノ音楽に詳しい山口さんは、智内さんから「右手のピアニスト」の存在について聞かれ、2人で関係する文献などを調べた。スミスの自伝に行き当たり、2台のピアノを2人で弾くなら、低音同士のバランスを取るのが難しい「四手」より「三手」の方が良いといった内容が書かれているという。

 一方で、スミスが死去した1974年以降、コンサートなどで「三手」で演奏された記録は見当たらないという。病気をきっかけに辞めてしまうとも考えられ、埋もれていたという。

 今回披露する「左手のためのピアノ協奏曲」は第一次世界大戦後、右手を負傷したピアニストのために生み出された。山口さんは「左手の音楽はマニアックな世界だが、素晴らしい作品が多い」、智内さんは「左手だけだと弾ける音は少ないが、響きは豊かになる。三手なら、表現しきれない部分をよみがえらせることができる」と話す。

 午後2時開演。ソロ演奏ではシューベルトの「アベ・マリア」のほか、小学生が作曲した曲なども演奏する。一般3000円、中学生以下1500円。問い合わせは、なら100年会館(0742・34・0111)。

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