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狭いケージに犬300匹 ブリーダー逮捕まで無策の行政に批判 大阪


 大阪府寝屋川市で2月、ブリーダーの女性が犬の繁殖・販売施設で病気やけがをした犬10匹を放置したとして、動物愛護法違反(虐待)容疑で逮捕された事件があった。府の対応が後手に回ったと指摘され、虐待された動物を早急に保護する仕組みの不備も浮き彫りになった。動物虐待事件は全国で増加傾向にあり、警察や動物愛護団体との連携強化など対応策の構築が急務となっている。【東久保逸夫】

 関係者によると、施設には300匹超の犬が飼育され、複数の犬を押し込めた小さなケージがところ狭しと並び、異臭も漂っていた。夏場は室内30度、湿度80%に近い劣悪な環境で、一部の犬には食事が与えられず、必要な治療すら受けさせてもらえなかった。瀕死(ひんし)の状態の犬も複数いたという。

 動物愛護団体が状況を把握し、府警に情報提供したのは2022年7月。府警は同11月、寝屋川市の施設などを家宅捜索し、23年2月に逮捕した。

 だが、府によると21年9月ごろには同様の虐待情報が府動物愛護管理センターにも寄せられていたという。府は21年度以降、21回の立ち入り調査を実施したが、いずれも虐待事案を見抜くことができず、担当者は「あくまで任意の調査でできる範囲が限られていた」と話す。

 23年3月の定例府議会で、地元選出の府議がこの事件を追及し、府側の対応が明らかになった。施設で死んだ犬が21年度46匹と前年度から約8倍に急増したことを把握していたことも判明。動物愛護法が定める繁殖事業に必要な従業員数については、配置に問題はなかったとする府側に対し、府議は「提出されたシフトをうのみにして現実は破綻した。認識が甘い」と指摘。吉村洋文知事も一連の対応について「不十分なところがあった」と釈明に追いやられた。

 さらに、虐待された動物の保護についても課題を残した。所有権の壁があり、劣悪な環境から救出しようとしても、法律上、飼い主が拒否すれば手出しできない。寝屋川のケースでは事件後、従業員がほとんどいなくなり、残された約200匹の犬の世話をできない事態になりかけた。

 府などが逮捕・起訴されたブリーダーの女性を説得し所有権を放棄させたが、関係者は「素早い引き取り体制を築けなかった。権利返還を求められ金銭トラブルになることも心配だった」と打ち明ける。6月下旬、吉村知事は環境省に対し、虐待された動物の緊急一時保護を可能とする法整備を要望したが、国の動きはにぶい。

  ◇動物虐待、全国で増加 22年166件

 警察庁によると、22年に全国で動物愛護法違反(虐待)で摘発された件数は166件に上る。統計開始の10年以降、増加傾向が続いており、各自治体で対応策の構築が急務となっている。府は事件の反省を踏まえ、警察と連携した立ち入り調査の強化や虐待対応マニュアルの整備など改善策に取り組む予定だが、実効性を伴うかがカギを握る。府の担当者は「動物虐待はあってはならない。緊急事態にしっかりと対応できる体制をつくっていきたい」と話す。

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