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高校生が開発、「持続可能」なブドウ袋が全国で高い評価 受賞相次ぐ


 バナナの仲間「バショウ(芭蕉、バショウ科)」ですいた和紙「芭蕉和紙」を特産のブドウ用果実袋にした愛媛県立大洲農高の生徒たちの研究が「環境に配慮した持続可能な農業」と、全国で高く評価されている。「SDGs探究AWARDS2022」(一般社団法人未来教育推進機構主催)で中高生部門最優秀賞に輝くなど、地域課題解決に関連する4事業で表彰された。

 地元の大洲市など南予地方でお盆の棚飾りとして親しまれるバショウだが、お盆が過ぎると大量に廃棄されていた。生徒らが地元生産者らへ聞き取りをするうち、愛媛大学社会共創学部の福垣内暁(ふくがいちさとる)准教授が、主にバショウの茎から「芭蕉和紙」をすく研究をしていることを知り、特産のブドウを風雨から守る果実袋に芭蕉和紙を使うことを思いついた。

 和紙にすく際、原料の繊維を水中で均一に分散させる「粘剤」に地場産品でもあるキウイの剪定(せんてい)枝を使うことも芭蕉和紙の特色の一つ。新型コロナウイルス禍の2021年、リモートで福垣内さんから和紙づくりを学んだ。

 芭蕉和紙は高い密度で繊維が結合したセルロースナノファイバー。耐水性があるうえに光を通して果実が染色しやすく、薄くても丈夫と果実袋としての利点がそろっていた。地域の基幹産業であるブドウ「ピオーネ」も温暖化の影響で果実が赤色になる着色不良が目立ってきたが、青く染色した芭蕉和紙を帯状にして果実袋に使うと色素成分や糖の合成量が増え、果実に良い影響が見られることが同校による青色光分析で分かった。

 果実の色を濃くする色素アントシアニンは従来の栽培法に比べ27%、糖度は8%向上したことも同県産業技術研究所の測定で明らかになったという。

 生産者への聞き取りでは、10アール当たりで3000枚ほどの果実袋が使われる。ビニール製がほとんどといい、重さは推定で約750キロ。植物由来の芭蕉和紙の果実袋はそのまま土に埋め、土壌中で6カ月後には約80%が還元される。資源の有効活用とプラスチック削減の両面で期待が高まる。

 地域の発展を願う高校生がアイデアを競う愛大社会共創コンテストでは7月15日、地域課題部門で全国最高賞に次ぐ準グランプリに輝き、「今後商品化され、持続可能な農業に貢献していくことを大いに期待する」とのコメントが審査員から寄せられた。

 受賞した果樹班3年、宇都宮美虹(みこ)さん(17)は「果実の着色不良改善にも役立つと知り、驚きました」、同、力石侑士(ちからいしゆうと)さん(17)は「耕作放棄地が増えているので、バショウの果実袋が大量に作られ、地域の産業に育つとうれしい」と話した。今後も地域の課題に積極的に取り組む考えだ。

 他に、環境に配慮した消費行動「エシカル消費」に取り組む全国の高校生が活動成果を披露する「エシカル甲子園2022」(徳島県、同教委主催)で優秀賞、消費者庁長官賞、「食料」「水」「環境」問題解決のための活動をたたえる「第12回毎日地球未来賞」(毎日新聞社主催)で奨励賞をこの8カ月間に受賞した。【松倉展人】

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