和歌山県九度山町で6月、町道から川に車が転落した事故を通報し、運転していた女性らを救出したとして、橋本署は18日、大阪府八尾市のイタリア料理店経営、小川浩幸さん（45）と妻友紀さん（43）に感謝状を贈った。同署によると、現場は携帯電話が通じない山間部で、町道は車両の通行量が極めて少なく、夫妻の行動がなければ重大な事故になっていた可能性があったという。
同署や小川さん夫妻によると、6月25日午前11時45分ごろ、家族で同町東郷のログハウスを訪れていた友紀さんが、遠くから車のクラクションのような音が鳴り続けていることに気付いたという。浩幸さんが様子を見に行き、道路から約7メートル下の川に真っ逆さまに転落している車を発見。友紀さんが約200メートル離れたログハウスの固定電話から「車が転落して中に2人乗っている」と110番した。
浩幸さんは川伝いに現場にたどり着いて運転席側のドアを開け、気を失っていた70代の女性のシートベルトをカッターで切って救出。助手席でぐったりとしていた70代の男性の体を腕で支えながら、警察や消防の到着を待った。友紀さんは道路から「もうちょっとでパトカーが来るからね」などと声を掛け続け、約30分後に橋本署員が現場に到着した。男性はドクターヘリで和歌山市内の病院に搬送され、意識を回復。同署によると、男女とも骨折し重傷を負っていたという。
感謝状を受け取った浩幸さんは「何とかしなければと必死だった」、友紀さんは「すごくびっくりして、ただただ声を掛け続けた」と当時を振り返った。【藤原弘】
