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三菱重工に1526万円賠償命令 長崎造船所じん肺訴訟で地裁判決


 長崎市の三菱重工長崎造船所で下請け会社の従業員などとして勤務中に粉じんを吸ってじん肺になったとして、90代の男女2人と死亡した男性の遺族が三菱重工に計1億560万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、長崎地裁は18日、同社の安全配慮義務違反を認め、90代男女に計約1526万円を支払うよう命じた。死亡した男性については、損害賠償請求権が時効(10年)で消滅したとして請求を棄却した。原告側は控訴する方針。【松本美緒】

 同造船所で働いた元従業員がじん肺などの健康被害への賠償を求めた第4陣訴訟の判決。判決によると、元従業員3人は1946~85年の間、短い人で通算約7年、長い人で同24年にわたって同造船所で防熱や溶接、艤装(ぎそう)、電気配線などの粉じん作業に従事していた。うち男性1人は提訴後の2021年に94歳で死去した。

 天川博義裁判長(松永晋介裁判長代読)は、三菱重工が平成(89年~19年)の初期ごろまでに講じた粉じん対策では不十分で、元従業員3人に対して安全配慮義務に違反したと判断。90代女性については同造船所での大量の粉じんばく露が主因になってじん肺などになったと推認できるとして、同社に約1430万円の賠償を命じた。

 90代男性についてはじん肺に準じる健康被害を認めたが、他の事業所でも長期間にわたって粉じんにばく露していたとして、健康被害に対する同造船所での粉じんばく露の寄与度を4分の1と判断して、同社に約96万円の賠償を命じた。

 死亡した男性については、同造船所で大量の粉じんにばく露したことが主因になってじん肺になったと推認できるとしたが、労働安全衛生法に基づいて健康管理手帳が交付されるじん肺の「管理区分2」の決定を受けてから10年以上が経過し消滅時効が成立しているとして、請求を棄却した。

 判決後、原告弁護団(横山巌団長)は、消滅時効などを認めた判決を「著しく不当」と批判する声明を発表。消滅時効が成立したとして請求が棄却された男性の次女(62)は「父も他の人と同様に過酷な環境で働いてきた。裁判で少しでも報われることを願っていたが、悔しくて父に報告できない」と涙を流した。

 三菱重工は取材に「当社の主張が一定程度認められたと受け止めているが、今後の対応については判決文を精査してから検討したい」と答えた。

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