埼玉県秩父市が、ウイスキー「イチローズモルト」のふるさと納税の返礼品としての提供を停止していることが判明した。市は「提供事業者について疑義が生じたため」としており、改善されるまで提供しない。イチローズモルトは、最も人気が高い返礼品だけに、停止期間が長引けば、ふるさと納税の寄付額にも影響が出そうだ。
毎日新聞は6月1日、イチローズモルトをめぐる問題を報道。地元の酒販店が加盟する「秩父酒販協同組合」の理事長が経営する酒小売店が唯一の提供元になっていることに「理事長による独占だ」と一部組合員から批判が出ていると報じた。停止はこうした状況を受けた措置だ。
市によると、これまでにトラブルを理由にふるさと納税の返礼品の提供を停止や中止した例はないという。市は「提供事業者側に何らかの改善が図られれば再開する」と話している。
イチローズモルトを返礼品とするに当たっては、市がウイスキーを製造する「ベンチャーウイスキー」社に打診。ベ社からの「直接消費者に提供しておらず、組合を通じて組合または酒小売店からの提供を」との回答を受け、市が組合に持ちかけ、2015年10月から理事長が経営する店による提供が始まった経緯がある。
ふるさと納税の専門サイトは、5日現在も返礼品としてイチローズモルトを紹介しているが、「受付停止中」と表示したサイトがある一方で、複数のサイトが「品切れ中」としている。市は「現状ではサイトではこうした表示しかできていないが、早急に停止中であることが分かるように改めていきたい」と話している。【照山哲史】
