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アメリカザリガニ繁殖、出雲の古代ハス激減 畦に穴・新芽カット


 荒神谷史跡公園(島根県出雲市斐川町)で鮮やかなピンク色の花を咲かせる古代ハスの生育環境が危ぶまれている。アメリカザリガニの存在が影響しているからだ。過去には、公園内で年間9000匹以上捕獲された「厄介者」で、来園者が釣りをするなど駆除に向けた取り組みが進むが抜本的な解決策は見えていない。

 同公園内にある荒神谷遺跡は1984年に358本の銅剣が出土した国史跡。公園内の池で育てられている古代ハスは、古代の地層で見つかった種を発芽させた「奇跡の花」と言われている。

 被害をもたらすアメリカザリガニは1995年の開園当初から存在していたが徐々に増え、今では大量繁殖したアメリカザリガニが巣を作るために畦(あぜ)に穴を掘ることで池から水が抜ける被害が発生している。かつて園内の六つの池で古代ハスを育てていたが、現在は三つの池でしか育てられない。6年前に約5000株はあったとされるが、現在は約1500株にまで減ってしまった。また、古代ハスの新芽をザリガニが切ってしまう被害も確認されており、被害は深刻になっている。

 公園内では、2017年度から池に罠を仕掛けるほか、来園者によるザリガニ釣りといった対策を取っている。捕獲されたアメリカザリガニは20年度は2477匹、21年度は9466匹、22年度は7020匹。今年度に関しては、5月だけでも1436匹が捕獲されているという。公園管理を担当する小林浩司さん(47)は「捕獲しても湧き出てきていたちごっこ。薬をまいたら駆除できるが、下流域への影響を考えるとそれはできず、手作業で処理するしかない」と肩を落とす。

 アメリカザリガニは、6月から外来生物法に基づき野外放出や売買などが禁止されたが、すべての野外放出をチェックするのは難しいという。

 厄介者のアメリカザリガニは、ミシシッピ川流域を中心としたアメリカ南東部からメキシコ北東部が原産地。寿命は4~5年とされ、河川や池、水田などに生息する。雑食性で水草などの植物のほか、オタマジャクシなども補食する。産卵数は約200~1000個とされている。生態系に深刻な影響を及ぼしており、6月にアカミミガメとともに「条件付特定外来生物」に指定され、野外放出などが禁止された。違反すると個人の場合で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される。

 一方で、荒神谷史跡公園内にある池では在来の生き物も増え、アメリカザリガニ対策の成果も少しずつではあるが見え始めている。小林さんは「罠を仕掛けなければ増えていくだけ。根絶は無理だが、捕獲を続けてザリガニとうまく共存するしかない」と話している。

 古代ハスは6月中旬から7月中旬に花を咲かせ、見ごろを迎える。今月25日には同公園内で「荒神谷古代ハスまつり」が開かれる。【松原隼斗】

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