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タイタニック号探索艇不明 5年前に専門家らが「壊滅的な結果」懸念


 海底に沈む豪華客船タイタニック号の探索に向かう途中で消息を絶った潜水艇「タイタン」に残された酸素が尽きるタイムリミットが迫り、米国とカナダの沿岸警備隊などが必死の捜索活動を続けている。事故原因は不明だが、一部の専門家らの間では、タイタンを運航する米企業の安全対策について、以前から懸念が出ていた。

 5人を乗せたまま通信が途絶えたタイタンを運航するオーシャン・ゲート社は、元パイロットのストックトン・ラッシュ氏が2009年に創設した。自社が開発・製造した潜水艇で科学探査や深海見学ツアーを展開し、本社を米西部ワシントン州に置く。22年には米航空宇宙局(NASA)の元宇宙飛行士スコット・パラジンスキー氏の役員就任を発表した。

 同社のホームページによると、最高経営責任者(CEO)を務めるラッシュ氏はプリンストン大で航空宇宙工学を専攻した後、カリフォルニア大バークリー校で経営学修士を取得した。18日朝から行方不明になったタイタンは、ラッシュ氏自ら操縦しているとみられている。同社は潜水艇3隻を保有し、これまでタイタニック号が沈む北大西洋のほか、太平洋やメキシコ湾で200回以上の潜航を成功させたとしている。

 だが、タイタニック号探索の計画などに対しては、専門家から心配する声も上がっていたようだ。

 世界の海洋科学者、技術者や実務家で構成する海洋技術協会(MTS)は18年、ラッシュ氏に宛てた書簡で、タイタンの試作機の設計とタイタニック号の探索計画に対して「懸念」を伝えていた。米紙ニューヨーク・タイムズが公開した書簡によると、オーシャン・ゲート社のマーケティング資料では、タイタンは世界的な第三者認証機関の安全基準を満たすと記載されているが、MTS側は「基準を満たしているようには見えない」と指摘。オーシャン・ゲート社の資料は「誤解を与え、業界全体の行動規範に違反する」と批判し、同社の「実験的なアプローチ」は「壊滅的」な結果をもたらす可能性もあると伝えていた。

 また、複数の米メディアによると、オーシャン・ゲート社で海洋事業の責任者を務めた人物が5年前にタイタンの試作機の耐圧に関連する安全性などについて疑義を呈していたことが、裁判資料などから明らかになった。同社と元責任者は、秘密保持契約違反と不当解雇を主張して互いに提訴していたが、18年に和解したという。

 AP通信によると、同社は声明で、タイタンは20年から21年にかけて完成したもので、訴訟で言及された潜水艇とは異なるだろうと説明した。【ニューヨーク八田浩輔】

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