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ふるさと納税格差「3万倍」京都 府主導の新制度で是正へ


 京都府は10月から、ふるさと納税に本格参入し、集まった寄付金の半分を市町村に配分する仕組みを新設する。総務省によると、同様の制度は全国初とみられる。背景には自治体による返礼品競争の過熱があり、寄付金額は府内の市町村で3万倍以上もの隔たりが生まれている。府は「格差」の是正を目指し、京都全体の税収底上げを図る。

寄付の半分を市町村へ分配

 府はこれまでもふるさと納税を受け付けていたが、「基本的には市町村が前面に出るもの」という考えから、返礼品は文化的体験など一部に限り、積極的な参入は避けてきた。

 ただ、近年は全国的に返礼品競争が激化し、府内でも自治体ごとの寄付金の差が顕著に。2021年度の寄付金額は、京都市62億3800万円▽亀岡市30億9900万円▽京丹後市9億2700万円――と、上位3市で市町村全体(128億9900万円)の8割近くを占める。最少額は八幡市の20万円で、京都市の3万1000分の1以下だ。

 京都市は以前は「返礼品競争には参加しない」としていたが、税収の増加を目指して20年ごろから取り組みを強化。懐石料理店のおせちや高級ホテルの宿泊券などの返礼品を導入し、寄付が大幅に増加した。一方、八幡市は「人気のある特産品が少なく、市単独では返礼品を増やしにくい」(担当者)という。

 寄付額が伸び悩む自治体からは、府が主導した制度を求める声が上がっていたといい、府は特産品やノウハウに乏しい市町村の支援を図る。新制度では、寄付金から経費などを除いた上で半額を府が受け取り、残りを返礼品提供に協力した市町村に配分する。

 府の返礼品は検討段階だが、日本海側の海産物を集めた「海の京都」セットや、京の地酒を集めたセットなどのアイデアがあるという。担当者は「1品ではインパクトの出にくい返礼品でも、他の品物とセットにすれば人気が出やすい。京都だからこそできる返礼品を考えたい」と強調。府は開発の費用などとして、補正予算案に3億6900万円を計上した。

 ただ、府の「参戦」によって、逆に市町村の収益が奪われることへの懸念もある。税収が好調な、府内のある自治体の担当者は「府が返礼品を用意すれば、実際には自治体と競争になる。寄付が府に流れる事態は避けてほしい」と打ち明ける。

 府は、返礼品が市町村と重複しないよう配慮するほか、市町村の了承を得てから返礼品を設定するなどし、「寄付の奪い合い」を避ける方針。西脇隆俊知事は6月2日の記者会見で「市町村によってかなりのばらつきがあるので、自治体への支援を強化していきたい」と述べた。【千金良航太郎】

ふるさと納税

 納税者が応援したい自治体に寄付すると、自己負担の2000円を除いた額が、国税の所得税から還付されたり、居住地の住民税から控除されたりする制度。収入や家族構成に応じた限度額がある。出身地への恩返しや地方の活性化を目的に、2008年度に始まった。総務省によると、21年度の寄付総額は8302億円で過去最高を記録した。

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