長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で長崎市長が読み上げる平和宣言の起草委員会初会合が27日、同市の長崎原爆資料館であった。4月に就任した鈴木史朗市長が初めて出席。ロシアがウクライナに侵攻し核兵器による威嚇を続ける中、原爆投下後の長崎で起きた「被爆の実相」を強く発信する考えを示した。
両親が被爆者である鈴木市長は、主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれた広島市で、各国首脳が原爆資料館を訪れて被爆者から体験を聞いたことを「核軍縮への大きな一歩」と評価。「平和宣言でも『核兵器を断じて使ってはならない』と強力に発信したい」と述べた。
起草委員の被爆者で医師の朝長万左男さん(79)は「被爆者が減少する一方、世界は核軍拡へ逆行する危険をはらんでいる」と強調した。起草委は7月までに3回の会合を開き、鈴木市長が宣言文を取りまとめる。【高橋広之、樋口岳大】