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ビールで広げる飲酒運転根絶 廃棄パンと警察、異色のコラボ


 兵庫県加西市で食パン専門店「massimo(マッシモ)」を経営する浅野英樹さん(36)が手作りの過程で出る廃棄パンを使ったクラフトビールを企画・開発した。きっかけとなったのは飲酒運転を根絶しようと啓発活動を続ける県警加西署の鈴木義則交通課長(51)との出会い。異色のコラボが生んだビールは6月上旬から同市のふるさと納税の返礼品として活用される。

 浅野さんは5年前に「マッシモ」を開店。型崩れなどで商品にならなかったパンをラスクに加工したり、地元の猟友会にイノシシのえさ用に提供したりと食品ロスをなくす工夫を続けている。海外ニュースで廃棄パンからビールを作る方法があることを知り、アイデアとして温めていた。

 一方、鈴木課長は「飲酒運転根絶のメッセージはお酒を飲む人に届けてこそ効果がある」との思いから、地元の酒造会社に「飲んだら乗るな」という名の日本酒を限定発売してもらうなどユニークな啓発に取り組んでいる。その原点となったのは県警交通捜査課に所属していた2011年、加西市で子供2人が飲酒運転の車にひかれて死亡するという痛ましい事故を担当したことだ。

 鈴木課長は昨夏、地元の店舗や事業所に交通安全キャンペーンへの協力を依頼。浅野さんの店を訪れ、相談をする中でビールの企画が浮上した。浅野さんは早速、客として通っていたクラフトビールのダイニングバー「マイルストーンブルーイング東加古川醸造所」(同県加古川市)に話を持ち掛けた。最初は驚かれたが、協議を重ねた末、麦芽の一部にパンの端材を使ったビールの製造に成功した。ほのかにビスケットのような甘い香りを感じられるという。

 鈴木課長が頭をひねり、付けた名前は「ポリス エール SDDs」。SDGsならぬSDDsは「Stop Drunk Drivings(ストップ飲酒運転)」の略で、エールはビールの種類と「警察からのエール」という二つの意味を込めたという。

 浅野さんは「鈴木課長に背中を押されて念願がかなった。飲酒運転と食品ロスをともにゼロにする意識の高まりのきっかけになれば」と話している。

 330ミリリットル瓶入り約400本を製造した。ふるさと納税では1ケース(6本)が1万6000円の寄付に対する返礼品となる。【村元展也】

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