横転炎上中の車内から女性を救助したとして、宇部署は宇部市西岐波の左官業、槇田昇さん（44）と長男で従業員の玲士さん（23）に感謝状を贈った。2人は自らの命の危険を感じつつも、火の手が上がる車内に閉じ込められ、自力で脱出できない女性の命を見事に救ってみせた。
4月7日午後2時ごろ、同市東岐波の市道で、2人は仕事帰りに車を運転中に路外で横転している車を発見。そばに寄ると、「助けて」と声が聞こえた。しかし、ボンネットから既に火が上がっている。2人は自らの「危なさ」よりも、今まさに炎に包まれそうになっている女性の命を優先し救助を始めた。
車は運転席を下にして横転しており、車の前部から炎が上がっていた。女性は足でクラクションを鳴らして後部座席に逃げようとしていたが、自力で脱出できないでいた。玲士さんは後部座席のドアを開けて女性を抱え上げ、昇さんに渡して無事に救助を終えた。女性は足の擦り傷など軽傷だった。
約10分後には車全体が炎に包まれており、同署は「もし、救助が遅れていたら大変なことになっていた」と2人の勇気をたたえた。女性は命の恩人の2人に「助けてくれて、ありがとう」と感謝したという。
5月9日に感謝状を受け取った2人は「目の前の命を救うために無我夢中でした」と穏やかな表情で語った。【柳瀬成一郎】
