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損壊したまま放置される空き家 「危険」判定続出 石川・能登地震


 石川県能登地方で最大震度6強を観測した地震から12日で1週間。被害の集中した珠洲(すず)市では被災した住宅の復旧工事が急ピッチで進むが、住宅や店舗の約2割を占める空き家は損壊したまま放置されているケースも目立つ。余震も起きる中、隣家や道路に崩れるといった2次災害も懸念され、住民からは「いつ崩れてくるか分からず不安だ。市はもちろん、国や県も空き家対策を支援してほしい」との切実な声が上がる。

 傾いて今にも倒壊しそうな家、割れた窓ガラスが落ちそうな家――。市内でも被害の大きかった正院(しょういん)町では発生から数日間、県職員らの応急危険度判定士が「危険」と判定した住居に注意を呼びかける赤い紙を貼っていった。住人のいる家では、判定士が状況を聞き取ったり、地元の工務店が屋根修理などの工事を進めたりするが、危険と判定された建物の多くが何年も人が住んでいない空き家だ。

 「ここの通りは全部空き家。道路側に傾いた家もあり、歩くのが怖い。瓦も落ちてきそう」。大きな揺れから3日後、町内に住む60代女性は不安げに語った。付近にはごみ捨て場があるが、遠回りをして捨てにいくという。通りには約10棟が並び、ほぼ半数に「危険」の紙が貼ってあった。

 能登半島の先端にある珠洲市の人口は1万2795人(4月30日現在)。石川県内で最も高齢化が進んでおり、高齢化率は推計52・8%に達する。市によると、家主が亡くなったり、高齢者が市外の親類宅や福祉施設などに転居したりして空き家が増えている。環境建設課の担当者は「市内の住宅や店舗、事務所など約7000戸のうち、2割程度が空き家になっている」と話し、2018年までの5年間だけでも約200戸増えたという。

 市は17年に対策計画を策定。実態調査に乗り出し、住民の意見も反映して危険な空き家の特定を進めた。20年の調査では、年間を通じて使用されていない空き家の約3割を「危険性あり」と認定。空き家対策特措法で定める「特定空き家」に対し、市は解体時に最大100万円の補助金を出している。これまで年間2、3軒が解体されてきたが、昨年度は6月に最大震度6弱の地震が発生し、解体数は18軒に急増した。

 石川県によると、11日現在、今回の地震で珠洲市を中心に計684棟の建物被害を確認。うち住宅は計630棟で全半壊は計28棟となった。また、応急危険度判定の結果、298棟が「危険」とされた。

 現地では官民の協力した作業が続く。被災地から約100キロ離れた石川県羽咋(はくい)市の建設業「西村瓦工業」は、珠洲市の空き家で屋根の補修工事をした。家主の親戚から依頼を受けたという。従業員の沼津学さんは「一見して危険な空き家が多い。でも解体するには所有者に確認が必要で、外壁にアスベストが使われていないかの調査もいる」と話す。珠洲市は「今回の地震でも多くの空き家が危険な状態になっているはずだ。地域住民とも情報を共有し、早期に実態を把握したい」としている。【野原寛史、川地隆史】

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