長年の交流が続く台湾と秋田県仙北市の友好関係をさらに深めようと、作家で俳優、歯科医の一青妙（ひととたえ）さん（52）＝東京都＝が9日、同市初の「台湾親善大使」に就任した。講演会などを通じて台湾の事情を伝えるとともに、台湾向けに仙北市の情報発信も担う。秋田県は今年、新型コロナウイルス禍後のインバウンド（訪日外国人）推進策として台湾やタイからの観光客誘致に力を入れており、一青さんも誘客をさらに後押しする。
市内の田沢湖畔で開かれた就任式には田口知明市長ら約35人が出席。田口市長は「市のみならず秋田と台湾の懸け橋としてお力添えいただきたい」と期待を込め、市内には「妙乃湯（たえのゆ）」という温泉もあることを紹介した。
父親が台湾の名家出身で母親は石川県にルーツがあり、歌手・一青窈（ひととよう）さんの姉である一青さんは「仙北市と台湾の確固たる友情を築きたい。私は自転車に乗るので、台湾の友人に声をかけて田沢湖を一周し、温泉に入っておいしいものを食べ、（仙北市の）文化を見たい」と抱負を語った。
仙北市は、市内の田沢湖と台湾・高雄にある澄清湖が「姉妹湖」で提携しており、2022年に35周年を迎えた。一青さんは同年10月の記念行事に招かれたことが縁で親善大使に就任した。市内にあり岩盤浴で知られる強酸性の玉川温泉と台湾の北投温泉（台北市）は、ともにラジウムを含む希少な「北投石」を産出する縁で提携関係があり、台湾から医師を招くなどの交流がある。【工藤哲】
