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名古屋刑務所は「暴力の土壌、今も残ったまま」 元受刑者ら証言


 名古屋刑務所(愛知県みよし市)の刑務官22人が受刑者3人に暴力を振るっていた問題で、同刑務所は28日、刑務官13人を特別公務員暴行陵虐と同致傷の疑いで書類送検した。顔を殴ったり、アルコールスプレーを顔に噴射したりするなどの暴行を繰り返していたという。法務省は同日、刑務官とその上司ら計33人を懲戒処分などにした。

20年前に受刑者が死傷

 刑務所改革の原点となった施設で、再び人権を軽視した事件が起きた。しかし内情を知る元受刑者らは口をそろえる。「メイケイ(名古屋刑務所)はあのころから何も変わっていない」

 名古屋刑務所には、再犯や累犯と呼ばれる「犯罪傾向が進んでいる」と判断された受刑者1200人超が収容されている。このうち約4割を暴力団への加入歴がある受刑者が占める。

 約20年前、刑務官による暴行で受刑者が死傷した事件が起きた直後に同刑務所で服役した中年男性は、ほかの受刑者に対する態度が悪いと難癖を付けられ、刑務官に無理やり独房に押し込まれたと証言する。

 規律違反はしていないと男性が訴えても、刑務所幹部から「お前以外がみんなウソをついていると言うのか」と一方的に怒鳴られ、相手にされなかったという。男性は「(死傷事件が起きた)すぐ後だったのに『何も変わっとらん』と思った」と振り返り、同じ刑務所で暴行事件が起きたことについて「結局、その土壌が今も残ったままだったということ」と話した。

 法務省によると、昨年末に発覚した受刑者3人への暴行に関与した疑いがある刑務官22人は、いずれも20~30代で、大半が採用3年未満だったという。

 ある司法関係者によると、名古屋刑務所は職員間の上下関係が特に厳しい。受刑者らとじかに接する若い刑務官は、幹部から施設内の規律維持を強く求められてプレッシャーがかかり、慢性的にストレスを抱えていたという。関係者は「現場のストレスが受刑者に向きがちだった。いつかまた事件が起きるのではないかと思っていた」と述べ、背景には構造的な問題があると指摘した。

 名古屋刑務所では2001年、消防用ホースで尻に放水された受刑者が死亡。02年にも革手錠で腹部を締め付けられた受刑者2人が死傷する事件が起きた。関与した刑務官らが相次いで逮捕・起訴され、監獄法を刑事収容施設法(刑収法)として全面改正する起点となった。【藤顕一郎】

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