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希少な渡り鳥ミゾゴイ、「ボォー」と鳴き 東京・井の頭自然文化園


 井の頭自然文化園(東京都武蔵野市)の水生物園で日没後、希少な渡り鳥「ミゾゴイ」の雄(4歳)がさえずる。午後6時過ぎ、井の頭公園の弁天橋から水生物園方向に耳を傾けると「ボォー、ボォー」と雌を探す鳴き声が聞こえる。飼育担当の下川優紀さん(41)は「東京にも飛来する希少な鳥を知ってほしい」と話している。

 ミゾゴイはサギの仲間。全長約50センチ、体重600グラムほど。平地から低山の沢があるうっそうとした林に生息する。好物はミミズやサワガニ。危険を感じると首を上に伸ばして木の枝に擬態する。赤茶色の体は落ち葉や地面の色に溶け込み、里山で「忍者」のように身を隠して暮らすため、見つけるのは難しい。

 台湾やフィリピンなど東南アジアの暖かい地域で越冬し、春から夏、日本に飛来して繁殖する。渡りの途中、傷ついたり、衰弱したりして野生に戻れないミゾゴイを各地の動物園で受け入れている。

 下川さんは2022年からミゾゴイを担当している。昨年は5月ごろ、鳴き声を聞いたが「フクロウだと思った」という。繁殖期になると、目とくちばしの間の露出した皮膚が水色に変わる。日が暮れると、雄は雌を探して低い音でさえずる。つがいになるとさえずりをやめて巣を作る。同文化園でもつがいの雄(6歳)は鳴かないと言う。

 今年3月、職員が1羽で飼っている雄(4歳)の鳴き声に気づいた。下川さんは鳴き声を録音し、昨年、武蔵野市で保護された若い雌に聞かせている。この雌は骨折や右肘に脱臼があり、飛ぶことができず衰弱していた。下川さんは「野生に戻れないけれど動物園で繁殖して命をつないでくれたらうれしい」と慎重に相性を見極めている。

 ミゾゴイの繁殖は台湾や韓国でわずかな記録があるが、ほとんど日本で行われる。越冬地の東南アジアの森林の減少や、日本の繁殖環境の悪化で生息数は減少している。環境省はレッドリスト2020で絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)に選定している。【斉藤三奈子】

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