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習近平氏、和平仲介の意思 「独自の努力」ゼレンスキー氏に伝達


 中国の習近平国家主席とウクライナのゼレンスキー大統領は26日、電話協議した。中国外務省によると、習氏はウクライナ情勢について「中国は速やかな停戦と平和を取り戻すために独自の努力をする」と述べ、和平の仲介に乗り出す意思を伝達。中国政府の特別代表をウクライナに派遣し、関係各国との意思疎通を図る考えを示した。だが、中国のロシア寄りの姿勢を欧米などは批判しており、実際に和平交渉が進むかは不透明だ。

 両首脳の協議はロシアによるウクライナ侵攻後初めて。中国政府は侵攻から1年となった今年2月、停戦や和平交渉の再開を呼びかける文書を発表している。習氏はこれまでプーチン露大統領とは会談や電話協議を重ねてきたが、ゼレンスキー氏とも対話することで和平仲介の動きを本格化させた形だ。中国外務省によると、今回の電話協議はウクライナ側からの要請で実現。ウクライナ大統領府によると、協議は約1時間だった。

ウクライナ大統領、軍事協力停止要請

 ゼレンスキー氏は協議で、「すべての国がロシアへの支援を控えることの重要性」を強調。「ロシアは部分的な支援であっても、侵略の継続につなげる」と述べ、武器供与を含む軍事協力をやめるよう求めた。また、2014年にロシアが併合したクリミア半島の奪還にも言及し「我が国の主権と領土の一体性を取り戻さなければならない」と訴えた。

 習氏は「対話と交渉こそが唯一の出口だ」と述べたほか、「中国は責任ある大国として火に油を注ぐことはない」とロシアへの武器提供を暗に否定した。また、「核戦争に勝者はいない」とも語り、ロシアによる核兵器の使用や威嚇に懸念を示す欧州に配慮する姿勢も示した。

 中国が和平仲介に積極的な背景には、深刻化する米国との対立がある。ウクライナ侵攻後、米国は北大西洋条約機構(NATO)を軸に米欧の連携を強化し、対中圧力を強める。中国には、欧州最大の懸案であるウクライナ危機でロシアに一定の影響力を行使できる「仲介役」としての存在感を示すことで、米欧の結束にくさびを打ち込みたいとの思惑がある。

 ただ、ロシア寄りの主張などを続ける中国への西側諸国の不信感は根強い。今月中旬には、李尚福国務委員兼国防相がロシアでショイグ露国防相と会談し、両国の軍事協力の強化で一致。中国によるロシアへの武器提供に対する警戒感が再び高まった。

 また今月下旬には、中国の盧沙野・駐仏大使が仏メディアのインタビューで旧ソ連諸国について「主権国家としての地位を定めた国際的な合意はない」などと発言したことで、ウクライナを含む欧州各国が猛反発し、中国外務省が火消しに追われる事態にもなっている。

 一方、ゼレンスキー氏が習氏との協議に臨んだのは、ロシアへの軍事支援にクギを刺す意図に加え、今後の停戦や復興などを巡り中国の外交的影響力や経済力に期待している可能性もありそうだ。【北京・岡崎英遠、ベルリン念佛明奈】

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