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風力発電出力、国内最大22万キロワット 北九州で洋上ファーム起工


 北九州市若松区沖の響灘に建設される大型洋上風力発電所「北九州響灘洋上ウインドファーム」の起工式が25日、開かれた。設置される風車25基の発電出力は最大22万キロワットと完成時点では国内最大で、年間発電量約5億キロワット時は一般家庭約17万世帯分に相当する。二酸化炭素(CO2)の削減量も年間20万~30万トンを見込み、2025年度の運転開始を目指す。【日向米華、成松秋穂】

 17年に市の公募で選ばれた九州電力子会社や西部ガスなど5社で構成する「ひびきウインドエナジー」(北九州市)が設置、運営する。風況・海域調査や環境アセスメント、安全性を第三者が確認する「ウインドファーム認証」などの手続きを経て3月着工した。

 総事業費約1700億円で、発電出力9600キロワットの風車を沖合四つのエリア(約2700ヘクタール)に25基設置する。風車の羽の直径は174メートルで、海面から先端までの高さは約200メートルと国内最大の大きさとなる。発電した電力は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づき、1キロワット時当たり36円で九州電力送配電に販売する。

 風車は海底に据え付ける「着床式」を採用し、基礎となる構造物は響灘地区にある日鉄エンジニアリング(東京)の工場で製作される。起工式でひびきウインドエナジーの水町豊社長は「響灘地区に技術力のある企業が集積し、洋上風力事業にとって地域の強みを生かせる」と強調した。23~24年度に基礎工事を進め、25年度に陸上で組み立てた風車を設置する。自然エネルギーの教育の場や観光資源としての役割も担い、北九州市の武内和久市長は「市民や地元産業界、多くの関係者が期待を寄せている」と語った。

 日本は周辺を海に囲まれ洋上風力発電の高い潜在力がある。秋田県沖で事業化され、長崎県五島市沖や北海道などでも開発計画がある。

 風力発電設備は約2万点の部品から成り、風車の保守などを含め関連産業の裾野が広い。北九州市は響灘地区に風力発電などのエネルギー関連の産業が集積する総合拠点「グリーンエネルギーポートひびき」の実現を掲げる。地域経済の活性化や脱炭素化社会への弾みになると期待される。

 周辺では北九州市の誘致で、風力発電機を回す大型旋回ベアリング製造を手掛けるティッセンクルップローテエルデジャパン(旧・日本ロバロ、東京)が工場を建設。「ひびきウインドエナジー」の構成メンバーでもある風力発電機メンテナンスの北拓(北海道)のトレーニングセンターも開設された。風車の回転数を上げる増速機を手掛ける石橋製作所(福岡県直方市)も工場建設を検討している。

 一方、三菱重工業(東京)や日立製作所(同)など国内大手は国際的な競争激化で風車の製造から撤退した。ウインドファームが採用する風車はデンマークのベスタス製で、基幹設備の部品は海外調達される。着工までの間に資材価格は高騰し、採算性への懸念もある。

 北九州市は国の補助金制度なども活用して企業誘致を続け「現在も複数の企業と鋭意、商談中」とする。関連産業の集積が狙い通りに進むかどうかが鍵となりそうだ。

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