starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

「ようやく子どもの声が」 福島・大熊町で12年ぶりに教育・保育


 「おめでとう」「おかえり」――。東京電力福島第1原発が立地する福島県大熊町で10日、原発事故以来12年ぶりに教育・保育が再開された。避難先の同県会津若松市から町内に帰還した義務教育学校と、新設された認定こども園が一体化した町立の「学び舎(や) ゆめの森」。入学・入園式と始業式を兼ねた「始まりの式」では26人の子どもたちの元気な声が会場に響き、町民らは温かい拍手で出迎えた。【肥沼直寛、尾崎修二】

 新校舎は建設が遅れており、式典は交流施設「linkる大熊」で開かれ、小学生に当たる1~6年生が15人、中学生に当たる7、9年生が3人、園児8人が出席した。

 式典で南郷市兵・校長兼園長は「更地に見えるあの場所には、確かに建物が、暮らしが、笑顔が、営みがあった。目を凝らし、耳を傾け、地域の皆さんと共に新しいみんなの物語を、大熊の物語を紡ぎ出していこう」とあいさつ。子どもたち一人一人の名前が読み上げられると、元気な声がホールに響いた。まちづくりの仕事に携わる町出身の吉田幸恵さん(47)は「ようやく子どもの声が聞こえる。町にとっても一歩前進かな」と喜んだ。

 町外出身の子も多く、震災当時に町に住んでいた子も記憶は薄い。町出身の会社員、石井和弘さん(49)は次男空さん(1年)と次女埜乃佳(ののか)さん(9年)の入学・進学を見守り、「自分で考えながら好きなことを勉強してほしい」と話した。12年続いた単身赴任も終わり、町で家族と暮らせる喜びをかみしめる日々だという。両親の職場が町にあり、富岡町から転居・転校した野川煌冴(こうが)さん(3年)は「新しい友達をつくりたい」と心を弾ませた。

 南郷校長兼園長は式の後、「目でふるさと大熊を感じられるものが(住民避難や家屋の解体で)少ないからこそ、子どもたちは町の人から話を聞いていけたらと思う。学校から町に元気を届けられるようにしたい」と語り、少人数ならではのきめ細かい教育を誓った。

 「ゆめの森」の新校舎は資材不足で完成が遅れており、子どもらは2学期が始まるまで町役場や「linkる大熊」などを間借りする。

 震災当時、町に約1600人いた子どもたちの2%に満たない人数での再出発となったが、子どもの数が今後どれほど増えるかは見通せない。多くの町民が避難先に生活基盤を移し、住民票を持つ約1万人のうち、町内に住む人は4%の426人(3月1日現在)にとどまる。

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.