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ヒレに毒、独特の臭い…アイゴを食卓に 食品宅配大手が取り扱い開始


 毒を持つトゲに、特有の臭い――。加工の難しさからあまり食べられていなかった魚「アイゴ」を使った商品の販売を、食品宅配大手が開始した。サイズが流通に適さなかったり、まとまった量が取れなかったりするなど他にもさまざまな理由から、水揚げされても捨てられることが多かったこうした「未利用魚」を一般家庭向けに販売する動きが広がりつつある。

 食品宅配「オイシックス・ラ・大地」(東京都品川区)は、3月からサービスブランド「らでぃっしゅぼーや」で「大分県産アイゴの一夜干し」の販売を開始した。老舗の水産加工会社「やまろ渡邉」(同県佐伯市)が生産する。アイゴは、身がぷりっと引き締まり、スズキやホッケなどに似た淡泊で上品な味わいが特徴だという。

 アイゴは海藻を食い荒らすため、魚などのすみかとなる藻場を消失させる「磯焼け」の一因になっている。青森から沖縄までの全国の沿岸に生息しているが、ヒレには毒を持つトゲがあり、処理の仕方によっては特有の臭いを放つことから加工が難しく、一般的には市場に出回っていない。他の魚の漁をする際に網に一緒にかかりもするが、捨てられてしまうことが多いという。

 「らでぃっしゅぼーや」の商品開発担当者・源河(げんか)直也さん(32)は「(販売により)磯焼け問題の解決や食品ロスの削減につなげたい」と語る。同社は同時に、愛媛県産のサメ肉(刺し身用)の販売も始めており、「どちらも思っていたよりも売れ行きがよかった。未利用魚の社会的認知の拡大も背景にあると思う」と話す。

 未利用魚を活用する動きは広がっており、同社のように通販での取り扱いも増えている。

 水産加工品製造販売の「ベンナーズ」(福岡市)は、未利用魚を簡単な調理で食べられる冷凍パックにして、サブスクリプション(定額利用)で届けるサービス「フィシュル」を手がけている。産直通販サイト「ポケットマルシェ」では、2021年の未利用魚の売り上げは前年比約24倍、22年も21年比3倍と大幅に拡大。イオンは「トップバリュ モッタイナイお魚シリーズ」の第1弾として、「シイラ」などを使った総菜を6日から360店舗で販売開始した。

 捨てていた未利用魚の活用が拡大することは食品ロス削減などに貢献する。一方で、人気や需要が高まる中での扱い上の難しさもある。オイシックス・ラ・大地の源河さんは「『未利用魚』が流行の言葉になりつつある中で、その利用が本当に食品ロス削減や海の環境問題の解決につながるのかを一つ一つ考えながら商品開発をしている。未利用魚を利用した結果、今度はその資源がなくなってしまうようなことがないよう、産地とも話し合いながら取り組んでいく」としている。【町野幸】

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