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お弁当作り、卒乳…「隠れ節目」祝い ビール会社が無料サービス


 春は別れと出会いのシーズン。卒業や進学、就職など人生の「節目」を迎える人も多い。しかし、たとえ誰にも祝ってもらえなくても、本人にとっては重要な節目がある。そんな隠れた節目にスポットを当てたいと、長野県のクラフトビール会社が、希望者の「隠れ節目」を無料で祝うサービスを3月から始めた。ささやかな幸せを届けるユニークな取り組みを取材した。【林大樹】

 3月2日、東京都内で少し変わった式が開かれた。会場の千代田区永田町のレストラン内の壁には紅白の幕が張られ、ステージやマイクも用意された。「隠れ節目祝い式」と名付けられた催しは、「よなよなエール」などの製品を展開する「ヤッホーブルーイング」(本社・長野県軽井沢町)が主催した。

 同社によると、コロナ禍で家飲みなどが増えたことで、近年は同社も含めてビールに対する需要は一時的に増加したという。しかし、2019年の厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、「飲酒習慣無し」と答えたのは、20~29歳では92・2%(03年75・8%)▽30~39歳は82・8%(同70・2%)。若年層の飲酒離れは深刻で、その傾向には拍車がかかる。ビール業界も変化の波の中にあるという。

 そんな中、ビール会社が隠れ節目祝いを始めることになったのは、2022年、同社に寄せられたある女性客からの声がきっかけだった。女性は同社の商品を定期的に購入するサブスクリプション(定額利用)サービスを利用していたが、妊娠を機に飲酒ができなくなるため、サービスを退会するという内容だった。

 その声を受け取った当時の社内の様子について、同社のプロモーション責任者の河津愛美さん(35)は「従業員から自然に『また飲酒できるタイミングで祝ってあげるのはどうだろう』という声があがった」と振り返る。

 同社では女性従業員の約半数が子育てをしながら勤務している。特に幼い時期の子育ての大変さなどをねぎらいたいという意見があり、授乳を終える「卒乳」▽「寝かしつけ卒業」▽「お弁当作り卒業」――など、約50の候補から五つを選び、隠れ節目として祝うことに決めた。

 2日の都内での式典は、隠れ節目を無料で祝う同社のキャンペーンがこの日スタートしたことをPRするイベントで、幼い子どもを連れた4組の親子計15人が招待された。

 都内在住の会社員、加藤麻里子さん(30)は夫の圭さん(31)と娘の律ちゃん(1)と参加した。加藤さんは現在産休中で、この日はビールの泡をイメージした卒乳証書や記念の缶ビール2本を受け取った。2年ほど飲酒できない期間があったといい、「子どもの節目は忘れないようにしているが、育てる側が祝ってもらえるのはうれしい。我が子の成長をつまみにビールを飲みたい」と笑顔で証書を見つめた。

 同社の井手直行社長(55)は「人生にささやかな節目はたくさんある。子育てや若い世代以外にも、それぞれの節目を祝ってもらい、豊かな人生につなげてもらいたい」と話した。

 「隠れ節目祝いbyよなよなエール」は、同社ホームページの特設サイトからアンケートに答えることで、無料で申し込むことができ、12月まで募集している。

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