国史跡の池、何者かが無断改変 平安時代「幻の山寺」遺跡 静岡

　静岡県湖西市は7日、平安時代の国史跡・大知波（おおちば）峠廃寺跡（同市大知波）の池が無断で改変されたと発表した。文化財保護法違反の疑いで文化庁に報告、県警湖西署にも相談している。

　市によると、大知波峠廃寺跡は、浜名湖北西部の大知波峠（標高約350メートル）にある10世紀中ごろから11世紀末ごろに栄えた山寺の遺跡。市教育委員会の発掘調査で、斜面から建物跡など多くの遺構が見つかった。古文書などの文献に出てこないため、「幻の山寺」と呼ばれる。遺構が良好な状態で残っていたため、平安時代中ごろの特色ある地方寺院跡として2001年に国史跡に指定された。

　市職員が昨年12月15日、現地を訪れ、池の改変を確認。警告する看板を付近に設けて、文化庁に翌日報告した。今年2月6日にも、さらに池の改変を確認した。

　池の中に土手を造って分断したり、池の中を掘削したりしていた。市文化観光課の担当者は「国民の大切な財産である国史跡を勝手に改変するのはやめてほしい」と呼びかけている。【山田英之】