島根県大田市の国民宿舎さんべ荘で25日から繰り広げられた第72期ALSOK杯王将戦七番勝負の第5局（毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催、ALSOK特別協賛、囲碁・将棋チャンネル、立飛ホールディングス、森永製菓協賛、大田市など後援）は26日午後6時11分、藤井聡太王将（20）が挑戦者の羽生善治九段（52）を101手で降し、対戦成績を3勝2敗として初防衛に王手をかけた。羽生九段は13期目の王将位とタイトル通算100期獲得に後がなくなった。残り時間は藤井王将26分、羽生九段13分。第6局は3月11、12の両日、佐賀県上峰町の大幸園で、羽生九段の先手番で行われる。
終盤、形勢が大きく揺れた「横歩取り」の乱戦。最後は藤井王将がチャンスを的確にとらえ勝利をもぎ取った。
藤井王将が駒損を承知で5三桂成と王手したところまでが1日目の戦い。羽生九段は封じ手で同玉と応じた。その後も藤井王将の攻め手は緩まず、羽生九段が7三桂（62手目）から桂馬の三段跳ねで自陣に迫るのも構わず、竜を作り、さらに角と飛車を打って羽生九段の玉に迫った。
粘る羽生九段に対し、藤井王将の3五銀（81手目）が長手数で詰みを狙った手。これに対し、羽生九段の3三桂が自玉の退路を確保する好手で、検討陣から「形勢逆転か」の声が上がった。しかし5四桂（87手目）に対し、5一銀と打った守りの手が痛恨の逸機。終局後の検討では、攻めを継続する手段に多くの時間を費やした。藤井王将は4二角成から仕上げに入り、最後は羽生九段の玉を即詰みに仕留めた。
解説の西川和宏六段は「序盤から激しい戦いが展開され、全く予想していない手の連続でした。見応えの多い将棋でした」と話した。【新土居仁昌、丸山進】
