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アツアツ石焼き芋、なぜ甘い? 秘密は「加熱」ともう一つ


 寒い日が続くと、アツアツの甘い石焼き芋が恋しくなる。かつてはリヤカーや軽トラックの焼き芋屋が懐かしい呼び声とともに回ってきたが、近年ではスーパーにも売り場が出るようになった。そもそも、なぜこんなに甘いのだろうか。

 「収穫直後の生のサツマイモを食べても甘くはなく、加熱することで甘みが生まれるのです」。そう教えてくれるのは、農研機構北海道農業研究センターの片山健二さんだ。サツマイモの新種開発に取り組んできた。

 芋類に含まれる糖質の大部分はでんぷんで、加熱するとのり状になる。これを糊化(こか)と呼ぶ。サツマイモの中には「βアミラーゼ」という消化酵素があり、糊化したでんぷんに作用して、水あめの主成分である麦芽糖に分解する。これが甘みの正体だ。

 芋類にはジャガイモやサトイモなどいろいろあるが、サツマイモだけがβアミラーゼを大量に含むため、甘くなるのだ。

 加熱時の温度もポイントだ。サツマイモのでんぷんの糊化は65~75度から始まるが、βアミラーゼは75~85度を上回ると壊れてしまう。βアミラーゼの働きを最大限にするためには、70度前後の温度を長く保つ必要がある。

 日本で戦後から登場するようになった石焼き芋は、窯に敷いた石が遠赤外線効果で70度前後をキープしながらじっくりと焼き上げる。「サツマイモが甘くなるメカニズムを十二分にいかした理想的な調理法です」と片山さん。スーパーの焼き芋コーナーも、電気オーブンでこの温度帯になるように設定している。

 甘さの鍵は貯蔵期間にも隠されている。収穫後の生イモを13~15度程度で貯蔵すると、徐々にでんぷんが糖に変化し、甘み成分の一つであるショ糖ができる。貯蔵期間が長いほどショ糖は増えるが、甘みを引き出すためには最低でも1~2カ月は必要という。片山さんは「焼き芋の甘さの秘密は、貯蔵中に増えた糖と加熱調理で生まれた糖の相乗効果にあります」と話す。【田中韻】

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