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快気祝い、ささげたゴール=がん克服の恩師、カタールに―W杯サッカー・遠藤選手


 昨年3月の韓国代表との国際親善試合で、日本は3―0で快勝した。最後にゴールを決めたのは、サッカーワールドカップ(W杯)代表の遠藤航選手(29)。がんと闘った恩師への「快気祝い」だった。  遠藤選手は横浜市出身。小学生時代は地元のサッカークラブで、父周作さん(56)の指導を受けながら技を磨いた。横浜F・マリノスの育成組織を3度受験するも不合格。進学先の市立南戸塚中学で、恩師の高橋奨さん(49)と出会った。  「体は小さく、スピードがあるわけでもない。でも周りに気を使いながら、何かをやろうとしていた」。高橋さんは遠藤選手の第一印象をこう振り返る。「目立たない」「華がない」。多くの指導者らが首をひねったが、いち早く遠藤選手の能力に気付いた高橋さん。県選抜に入れるなどして、世代別代表への道筋をつくった。  高橋さんが体の異変に気付いたのは2020年7月。当時勤務していた高校の健康診断で、肺にわずかな影が見つかった。再検査の結果は肺腺がん。高校選手権の県予選をなんとか見届け、10月末に手術で右肺を摘出した。  術後は声が出せず、視力も悪化。食事も取れずに、体重は約20キロ減った。1カ月後から抗がん剤治療を始めると、ひどい吐き気に襲われた。「どんなトレーニングよりもきつかった」。新聞記事や映画の字幕を目で追うこともままならない。精神的にも追い込まれる中、サッカーの試合を眺めては遠藤選手の活躍に勇気づけられた。  翌21年3月25日。日産スタジアムのバックスタンド席には、高橋さんの姿があった。同月からの職場復帰を知った遠藤選手が招待してくれたという。幼い娘を連れ、周作さんらと共に観戦した。  2―0で迎えた後半終了間際、コーナーキックに遠藤選手が頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。「頼むわ。点取っちゃってよ」。事前に交わしたやりとりが現実のものとなった。  その後、がんの再発や転移はなく、経過は良好といい、高橋さんは悩んだ末にカタール行きを決めた。もともとはフォワードで「点取り屋」だったという遠藤選手。「あいつ、本当に点取りますからね」。信じ続けた教え子の雄姿を見守る。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕サッカーW杯代表、遠藤航選手の恩師・高橋奨さん(左から3人目)と遠藤選手の父・周作さん(同2人目)=2021年3月25日、横浜市の日産スタジアム(高橋さん提供) 〔写真説明〕サッカーW杯代表の遠藤航選手を中学時代に指導した高橋奨さん=10月28日、横浜市
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