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「日中は元来仲悪い」=岡本隆司・京都府立大教授インタビュー―国交正常化50周年


 日中両国は29日、国交正常化50年の節目を迎えるが、政治や外交をめぐって関係は冷え込んでいる。長期の歴史的視点から、この50年をどう評価すれば良いのか。岡本隆司・京都府立大教授(東洋史・近代アジア史)に聞いた。  ―50年間の日中関係をどう見るか。  国交正常化当時の日本人は「日中友好」のスローガンの下、中国のことをよく知らずに好意を抱いていた。しかし、歴史的に見れば、元寇(げんこう)や日本人の海賊を意味する「倭寇」、豊臣秀吉の朝鮮出兵、日中戦争など、両国は争いばかり。政治や外交面ではもともと仲が悪かったのが日中で、ある程度ドライに割り切ることも必要だ。  一方で、民間貿易や経済面での付き合いは古くから続いてきた。政府レベルの関係が冷え込んでも経済では互いに必要とする「政冷経熱」という表現が的を射ている。「分かり合う」ことに期待し過ぎるのではなく、相手を「容認せずとも理解する」姿勢でいること。理解の助けになる歴史を学ぶことも必要だ。  ―中国から見た日本はどういう国か。  他の周辺国とは少し違う存在。中国文化を真正面から受け止め従ってきた朝鮮半島と異なり、日本は言うことを聞かない「まつろわぬ国」。いきなり攻めてくるなど、何を考えているか分からない。ただ、中国は日本以外にも複雑な外交関係を抱えている。日本にとって中国の存在感は非常に大きいが、中国にとっては日本が第一ではない。日中関係は非対称だ。  ―日本が理解できていない部分は。  中国の歴代政権の基本姿勢は「中国を一つにまとめる」というもの。辛亥革命(1911年)以前から、指導者が変わっても、この思想の下で対外政策も内政も決定する点は変わらない。ただ、現実的には台湾や香港、チベットで中国から距離を置こうとする動きが出ており、だからこそ「一つの中国」という号令をかけ続ける必要がある。  中国は歴史的に政府と民間が大きく乖離(かいり)した国でもある。中国政府はITを駆使して民間社会、経済を支配しようとしているが、この乖離は1000年来のもので一朝一夕に解消できない。こうした重層的な部分がある国だと知っておかなければならない。  ―日中関係の好転は望めない?  状況が劇的に変わることは考えにくい。ただ、50年間で相手国のことは以前よりよく見えるようになった。互いのことを理解できれば、もう少し関係も良くなる。中国研究や歴史に興味を持たない若年層も多いが、目先の国際関係や経済情勢だけでなく、両国の来歴にもっと関心を持つことができれば理解も進むと感じている。 【時事通信社】 〔写真説明〕京都府立大の岡本隆司教授=6日、京都市左京区
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