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台湾侵攻想定した準備必要=拘束懸念、訪中はリスク―香田洋二元自衛艦隊司令官


 1972年の日中国交正常化当時、中国は通常兵器では大きな戦力を持っておらず、日本側の安全保障面での警戒感は限定的だった。しかし、沖縄県・尖閣諸島をめぐる対立などで状況は一変。香田洋二元自衛艦隊司令官はインタビューで、中国軍による台湾侵攻を想定した備えを整えるべきだと強調した。  ―日中国交正常化の年に防衛大を卒業し自衛官となった。  当時はソ連の存在が圧倒的に大きかった。「中国は100%陸軍国」と考え、軍事的な脅威と見ていなかった。海軍力に乏しい中国が日本の直接の脅威にはなり得ないという認識だった。中国は考慮の対象ですらなかった。  歴史的に見ると、日本が何度も戦った国は中国だ。白村江の戦い(7世紀)、元寇(げんこう)(13世紀)、豊臣秀吉の朝鮮出兵(16世紀)、日清戦争(19世紀)、日中戦争(20世紀)。朝鮮半島が戦場になることが多かったけれど、いずれも日本は中国の王朝や政権と戦った。中国は、文化・経済・政治で日本の模範であると同時に、安全保障上の脅威だった。中国には模範と脅威という二つの対立する要素があり、今も変わっていない。  ―香田氏自身の中国との交流は。  新型コロナウイルス感染が広がる前は、シンクタンク、大学のシンポジウムなどで年2、3回程度中国を訪れていた。2019年に北海道大教授が中国政府系機関の招きで北京を訪問し、当局に拘束された影響は大きい。コロナ禍が終わっても、多くの日本の専門家は中国に行かないと思う。これは明らかに中国側の失態だ。交流の充実が必要なのに、どんどん交流を難しくしている。もう少し様子を見るが、私自身もやめておいた方がいいかなと思っている。リスクが大き過ぎる。  私は共産主義独裁の中国を良くは思っていなかった。しかし、冷戦終結後の新たな安全保障環境下でぜひ交流するべき相手だと1990年代に考えた。高いレベルの防衛交流の場をつくりたかった。そこで、02年に(アジア太平洋の海軍当局者らによる)西太平洋海軍シンポジウムを日本で開催した時、海上幕僚監部防衛部長だった私はメンバー国の同意を得て中国をオブザーバーとして呼んだ。  来日した中国の海軍少将に「国の立場は違うけれど、将官級が定期的に情勢分析や戦略的な意見交換をする会議をできないか」と提案した。少将は「分かった」と言って持ち帰った。私の印象では、お互いに理解を共有したと思うが、その後、文書で「国の上層部の了承を得られなかった」と回答が来た。私としては中国海軍と対話ルートをつくろうと相当入れ込んだものの、向こうに断られ、大変残念に思った。  ―現在の日中関係をどう見るか。  中国を信用して付き合ってはならない。中国との経済関係をゼロにする必要はないが、急に何か深刻な問題が起きたときに耐えられるようにしておくべきだ。今のままでは台湾有事が起きたときに日本経済は大混乱になるのではないか。中国による台湾侵攻がないという立場に立つのは甘い。万が一にでも起きたときに痛みを最小限にするためにどうするか検討するべきだ。 【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える香田洋二元自衛艦隊司令官=21日、横浜市
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