製造過程で不備、亀裂発生＝日航機エンジン破損―運輸安全委

　２０２０年１２月に那覇発羽田行きの日本航空９０４便ボーイング７７７―２００型機のエンジンブレードが破損したトラブルで、運輸安全委員会は２５日、ブレードの製造過程で不備があり、もろくなった部分に亀裂が入って壊れる「疲労破壊」が起きたとする調査報告書を公表した。　 　報告書によると、エンジンはプラット・アンド・ホイットニー（Ｐ＆Ｗ）社製の「ＰＷ４０００系列型」。左エンジン前部の空気取り込み口のファンにあり、高速回転するブレード１枚が根元から破断するなどした。破断面には疲労破壊の痕跡があった。 　分析の結果、冷却液の流量が不十分な状態でブレードの研磨作業をしたため、溶けた金属が火花となって飛散し付着。「ノジュール」という粒状の小さな塊となり、亀裂の起点となった。 　その後の定期検査でも亀裂は見つからず、運航が継続されたため疲労破壊に至ったとみられる。定期検査はＰ＆Ｗ社のみで実施。最後の検査は１８年６月で、この時既に亀裂が生じていたと推定される。 　運輸安全委は、検査手法と頻度が不十分だったと指摘した。問題を受け、Ｐ＆Ｗ社は検査頻度を増やし、新たに運航会社が行う別の検査も導入された。（了）【時事通信社】